2023.2.3 セトリ最高だったPlastic Tree PPP#21 『静脈』


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行っておりましたお台場Zeppシティ。

「しばらく行ってないなあPlastic Tree……あの音浴びたいし……じゃあ行くか〜〜〜!」と一念発起したものの前回行ったのが昨年8月なのでまだ半年ぶりか。まずまず行っとるな。うーんコロナ禍でも毎月のように公演を継続している報せが流れてくるが故であったり、“餓え” させる音であるからこそでもあり。

あと今回のタイトルナンバーが『静脈』。私の最推しアルバムである『インク』やその近辺の曲が聴けるんじゃないかという読みもありつつ。振り返ってみれば直のインク収録曲は2曲だけだったのだが、しかしその香りを帯びつついろんな歴代曲から網羅した最高セトリだったのです。

 

 

ଳ~

 

 

開演。深海を彷徨うようなSEが聴こえはじめ、インストの『~作品「ammonite」~』。会場全体が水底に沈んだようなムードの中メンバーが登場し、竜太朗のギターの鳴りから一曲目ブルーバックへ。

アルバム『アンモナイト』の最終盤に収録されている曲。深淵で陰鬱な前半部からそのムードそのままにどんどん加速しけたたましく進んでいく。さながら死に際の走馬燈。特徴的で印象に残る曲だったので、その正体を間近で視認できたようで喜び。

クレジット見直したらケンケンの初作曲参加曲だったんだなー、ポジションは華々しいのにまるで華々しくないデビュー作 (笑)。

 

ブルーバックで幕が燃え尽きた後は、2曲目に『インク』! もう元が取れた最高のナンバー。ラスサビ前に全員の音が消えていく沈黙、からの高らかなシンバルでバチーンとラスサビに入るとこが気持ち良すぎだ。

 

竜太朗から「今年も叙情的な楽曲活動をやっていきます」みたいな新年の挨拶があり、いかにも00年代V系っぽい歌メロにガリガリしたバンドサウンドが妙な『アリア』、ディーパーズリスペクト代表な『プラットホーム』。プラットホーム聴けると思ってなかったからちょっとびっくりした。リーダーの錆鉄を削るようなベース、ケンケンの一粒一粒が鮮やかに響くドラム、アキラが届けるシューゲイザー的ギターノイズと改めて音がめちゃくちゃ格好いいなこのバンド、と持っていかれる。

ロックなバンドサウンドながら青く内向的な『Dummy Box』『ベランダ.』、熱を落としてアコースティックな『時間坂』

その次がまさかの『理科室』トロイメライ曲の配置上手すぎない?(何視点)。アルバム『トロイメライ』では一曲目にして微妙に浮いてる印象もあったんだけど(というかプラのアルバム一曲目は大体「わざと浮いてる」曲だと思う)、“静脈セトリ” として出されるとやっぱり古今貫いたプラの地の要素がここにあるよなーと。「こんな僕を燃やすだけの 火をください。」

 

そして理科室から続いて鳴り始めたギターのあのフレーズは、『フラスコ』。ぎゃー!! 急いていくようなギターリフに、走り出す楽器隊。風にさらわれそうなAメロからドラムの畳みかけに息を飲むBメロ、そしてまさに慟哭が煌めくサビへ。いやあもう大好き。この時期のプラの到達点みたいな曲だと思う。

そしてまた曲間を置かずとおなじみクールでルーズな『不純物』。ご馳走すぎて気化するかと思った。なんか妙に尖った曲順だなと思ったが、「理科室→フラスコ→不純物」で理科実験メドレーだったと気づいたのは終演後。

更に続けて披露されたのは、インディーズ時代より『銀ノ針』。予想外すぎるだろ。正直ディーピンマイサーイ!ディーピンマイサーイ!まで曲の記憶をぐるぐる探してた。演奏されたのは6年ぶり?だとか。

 

理科室からここまで怒涛のノンストップ。竜太朗がMCで疲れたと笑いをとりつつ、一段落して鳴りはじめたのは本日の顔・『静脈』。美しい歌声とアルペジオから入り、途端にけたたましいバンドの合奏に入ったかと思ったらまた清涼空間に転換していく。ああ、これこそが私が溺れたPlastic Treeじゃというような。何処よりもザクザクしたサウンドと何処よりもみずみずしい響きが細を穿つ。思えばこの曲を軸に選抜されたこの日のナンバー一曲一曲が湿っぽさとソリッドさを両立していて、まるで精巧に創られた樹脂細工たちのようだった。

 

『sunset bloody sunset』『瞳孔』 思いの外アップテンポな曲が多かったのもこの日の印象、と言ってもプラのそれは熱気こそあれ「ハイテンション」という言葉はまるで似合わないのだが。むしろ静脈ムードに馴染める透明感をもったアップテンポ曲なんてものがここまで揃うことに驚く。

「ライヴの年始めで節分の日でもあるということで、みなさんも今年一年嬉々がありますように」みたいなMCから『嬉々』。自分の席だと同期の音が小さくて「ちょっと知らない曲みたいになってるw」と楽しんでいたのだが、他の方の感想を見てると「同期の音でかすぎて聴きづらかった」というのも見て改めて席ガチャってこえーなと慄いた。ケンケンの高速ロールは何であんなにも鮮やかで気持ち良いのか。

 

そろそろ宴もたけなわかという時に「踊ってください」という掛け声と共に『デュエット』。素人目にも技巧というか妙に忙しそうな曲。長尺のアウトロ部分はまさに楽器のサーカス。

 

本編ラストは、B面画報から隠れきれていない名曲藍より青く。青い孤独が冴え渡った公演の一括りには、君と僕、涙の変わりになれるモノを探す、探す、探す。うーん見事で押しつけがましくない浄化エンド。

 

 

ଳ~

 

アンコール1曲目は本人たちをして超久々だったというバラード『ロム』

その後節分ということでと、長谷川父が毎年送ってくれるらしい豆を全員が鬼の仮面を被って投げ合うという「待って、これおかしくない!?」なくだり。来福来福。そして一年の福を願う『みらいいろ』を。

 

ダブルアンコールは、竜太朗の「お台場好きなので、お台場が似合う曲を」という言葉をもって本日のラストナンバー『リプレイ』「最終便の観覧車」から始まるバラードのリプレイを観覧車のなくなったお台場で。最後まで寂しい静かさと全員で掻き鳴らす熱さのコントラストが冴え渡る公演だった。

全20曲。「今日長かったね……ブラック企業だ!」と叫んで走り去っていったアキラを、演奏終了すぐで耳が聴こえなかったという竜太朗、正リーダー。笑うしかないケンケンを見届けながら閉幕を迎えた。

しかしプラのライヴに来るたび言ってるが、「全員イケメン!」っつっててもしゃあないんだけど本当見事に全員タイプが違う美男よね。幽幽美人さん、どハンサム顔のドラマー、骸骨執事みたいなリーダー、ギター屋のイケてる店長みたいな職人様。男の自分をして直で見ておおーとなるんだよな。

 

「今年はPlastic Treeも色々と予定が」とのことなので、期待と、この3年近くの蓄積が大きな花に実ってほしいなあという願いを込めて。

 

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ଳ~