愛だけがそこにある

 

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今更だけど、ブログは引っ越ししました。

 

いっこ前のページの頃は「すぐに更新するの嫌だな……」とか思っちゃってて。まあわりと早い段階で「ずっとこのページで止まってんの嫌だな」に変わってたんだけど (笑)。

 

 

 

まあでも、もう別のアカウントを中心に進めていますし、こっちは5年分の汚れみたいなのも溜まっているようなもんなので。

 

 

 

 

 

Go! Go! Beauty New World!

 

BUCK-TICK アルバム紹介 2018年作 『No.0』

 

BUCK-TICKを好きな人には勿論、彼らをよく知らず「結局どういうバンドなの?」と思っている方々に読んでもらえたら嬉しいと思いつつ、拙いですがこれを書かせていただきました。

 

 

 

 

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『No.0』

音楽を “アート” として触れるなら「耽美で濃厚なロック・アート」そのもののような、「死の物語展」または「走馬灯のロードショー」のような音楽アルバム。

 

 

彼らがデビュー31年目にあたる2018年に送り出した21枚目のオリジナルアルバム。この作品から、BUCK-TICKは最新が最高傑作」という言われが決定的なものになった。その言葉は決して公式から持ち出したフレーズではなく(むしろ一度も言っていないとも思う)、アルバムを聴いた往年のファンの間からどんどんと定着し、今やBUCK-TICKの作品の話になるとまず最初に届いてくるような合言葉とまでになった。

 

さてそんな傑作を送り出すまでのBUCK-TICKは、それに違わぬ好調と発展の軌跡を進んでいた。バンドはデビュー31年目を迎え、メンバーが50代を迎えた年季にも関わらず、である。

2009年作『memento mori』で「バンドグルーヴによるロック・サウンドと、ゴシックと、死と生を真っすぐに見据えた姿勢」といったバンドの基本軸を新たに再確認・再集約し、そこから2014年には「シュルレアリスム」をテーマにしたアルバム『或いはアナーキー』を発表。ダークとエレクトロと空間表現、そして心象的な歌詞世界によって独創性を極めた新たな世界観を生み出す。その翌年にはLUNA SEA主催の大型フェス「LUNATIC FEST.」に出演、伝説とも呼べる圧倒的ステージで目に見える程に新規ファンを大勢獲得していった。2017年にはデビュー30周年を祝うお台場特設公演2daysを開催。彼らは常に淡々としていて多くを語らなかったが、バンドは完全に更なる覚醒へと向かっていた。

アルバム『No.0』に先立った先行シングル曲『BABEL』の時点で、音の威力や鋭さが更にパワーアップし、その方向性は得意のゴシック&デジタルサウンドを見せつつも今までになく高いクオリティに到達しているのが存分に伝わってきていた。

 

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そうして遂に現れたアルバムの印象は、黒く重厚かつ耽美でメロディアスなサウンド。そこに「オフィーリア」や「サロメ」などの死に纏わる古典物語やら、猫の歌(!?)やら、稲垣足穂的シュール世界やらが並び、最初と最後を「戦火と主人公の死」を思わせる楽曲で括ったアルバム。

また前々作『或いはアナーキー』以降演奏に徹しつつもよりシアトリカルな表現やステージメイキング全体で魅せるライヴパフォーマンスを推し進めていたBUCK-TICKの、観劇的表現としての当時の到達点ともいえるアルバムにもなった。

 

そして、BUCK-TICKの音楽性への評価において改めて「櫻井敦司の表現力」への注目度が高まっていくきっかけとなったアルバムだったとも思う。厳密には前々作の収録曲『無題』のライヴステージングから彼への再注目は始まっていたのだが、そこで手にした新境地がいよいよ作品全体を覆っていく決定打となったアルバムが本作だったように思える。

 

 

──そろそろアルバムの封を開いて覗いていきたいと思います。

 


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零式13型「愛」

零式13型「愛」


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1. 零式13型「愛」

 

物々しく何かが起動するようなギターノイズから、爆音のように始まるリズム、一気に広大かつ暗黒に広がる世界。まさに一曲目に相応しい荘厳なオープニング・ナンバー。

「胎内大宇宙」といった歌詞からは生命の誕生を思わせるが、そのおどろおどろしく不気味な重みはむしろ「最期への刻」であるかのよう。もろに死へと向かって歩いていくようなイメージだ。

『零式13型「愛」』という兵器のようなタイトルの意味については直接の解説はされてはいないが、参考資料としてよく挙げられるもので言えば、第二次大戦に使われた「ゼロ戦」の設計者がBUCK-TICKと同じ群馬県藤岡市の出身だったりする。

 

BUCK-TICKのゴシックなナンバーで筆者が一番好きな曲を選べと言われればこの曲を選ぶ。美しいどころかおぞましい、ただただ絶対的な驚異に覆われたような楽曲。そのなかにほんの少しだけ情緒を伝わせるような旋律が深淵へと誘う。

書きながら「そういえばworld's end girlfriendと親和性高そうな曲だな」とちょっと思った(彼がBTのフォロワーだと知った時の大きな納得感よ)。

 

コバルト色  空 涙が溢レル

命ガ  モウ  ドクドク  ドクドクト

胎内大宇宙 君ノ名前ヲ

「愛」ト言ウ

 

 

 

美醜LOVE

美醜LOVE

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2. 美醜LOVE

 

インダストリアルの薄暗さも漂う肉々しいバンドロック。BUCK-TICKのアルバムはご丁寧に1,2曲目に比較的純粋なバンドサウンドらしい曲を置いてくることが多く、本作ではこの曲がそれにあたる。「死が切れ味を増やしておまえを愛してるぜ」というフレーズだけでBUCK-TICK流エロスとタナトスを証明していく。

 

醜悪なのさ世界中 罪深き連中さ

でも君は素敵 だから溶けて溶けて

 

アルバム当時、みだりに周囲を傷つけない櫻井さんの歌詞にしては珍しく攻撃的に聞こえてドキッとしつつ、「でも君は素敵」と続けるところに彼のバランス感を感じた。が、この厭世の怒り的な歌詞性は後の『Villain』『ワルキューレの騎行』とどんどんと鋭利な言葉を増しながら続いていったように思う。

一方で主題の面では、そんな世への嫌悪や死の匂いと反発しあうようにSexを咆哮する。

この「美醜」というテーマは、アルバム終盤の『BABEL』 へと繋がっていく。

 

 

 

GUSTAVE

GUSTAVE

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3. GUSTAVE

 

EDMに乗せて叫ぶ「NEW ROMANTIC!」。バタくさいノリに様々な音が縦横無尽に飛び交い、重たくも跳ねるリズムが心地よい。そしてそのサビの歌詞は

 

“Cat Cat CatCat Cat Cat CatCat Cat

  Cat Cat CatCat Cat's”

 

ええ……

GUSTAVEとはヒグチユウコ氏の「ギュスターヴくん」からとった名だそうな。まあでも、普通に猫の歌である。櫻井敦司だからね。

BUCK-TICKというバンドはどんなに重たいテーマの中でも詞・曲ともにユーモアを忘れないところに大きな魅力があるのだが、50を超えてこれをものにする魔王軍団に膝が崩れ落ちない同業者はおそらくいなかっただろう。猫を愛することが君に出来るか。

ライヴでは今井さんがギターで猫の鳴き声を再現していたのも印象的。

 

 

 

4. Moon さよならを教えて

 

先行シングルによる美しきバラード。バンドとしてこれが出来るのかというほど温かくも電子的な音像と空間性に満ちているが、それをしっかりバンド楽曲らしく聴かせる不思議さ。そして最終盤に躍動していくリズムと曲展開で一気に心が連れ去られていく。

 

筆者は先行シングルとしてこの曲が出た時には「アルバムの最後の方のバラードなんだろうな」と思い込んでいたのだが、実際には序盤の方に配置されて驚いた。──歌詞を読んでいくと、この曲は「いずれ “別れ” を知る子どもに対する母親の言葉」のような歌詞なのだなと思わされた。だからこそ序盤での配置なのかと。

……かつてのBUCK-TICKの楽曲に『Long Distance Call』という、「戦場へ向かう兵士が母親への最後の電話をする」という歌詞の曲があるのだが、その曲でいえば母親サイドからの歌のような位置のようなものだとか捉えてみるとしっくりくるかな、と思ったりする。

BUCK-TICKの中でも筆者の大のお気に入り楽曲です。

 

 

 

薔薇色十字団 - Rosen Kreuzer -

薔薇色十字団 - Rosen Kreuzer -

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5. 薔薇色十字団 -Rosen Kreuzer-

 

作曲・星野英彦。「薔薇十字団」とは「15世紀頃の神聖ローマ帝国(ドイツ)に存在した、120年もの間不老不死の実現のために世界各地で活動を続けてきた秘密結社」だとか。

星野英彦といえば美しいバラード調の曲の名手として有名なのだが、一方でアルバムに一曲はノリノリの曲も毎回入れてくる。そして、極たまに「マジなの?」っていうくらい暴走気味な曲がある。その中の一つである。

冒頭の何が起こったのかと思うようなギターの音は、今井さん曰く「今回はイントロとかAメロを“お任せ”って書いてあって(笑)。“お任せ”って言ったなって、もうめちゃくちゃにしてやりました(笑)」とのこと。ちなみに櫻井さんも(ヒデは)何か最近、不協っぽいのを1曲入れてくるんで、多分、僕も同じ感覚でめちゃくちゃにしてやろうと思って(笑)。歌詞も“何これ!?”っていうのをやりたかったですね。」と。おお天才と神の気紛れ。

 

 

 

サロメ - femme fatale -

サロメ - femme fatale -

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6. サロメ - femme fatale -

 

物凄い轟音に硬質なリズムとシンセをガンガンと鳴らす大シアトリカルなファム・ファタールの歌。多分このアルバムで一番シンプルに耳が痛い。マジなのか星野英彦。(YOW-ROWのせいかも)

改めて語ろうとすると結構ラルクっぽい曲だな(『fate』辺り)と思ったが、残念ながらラルクの曲はこんなに耳痛くならないし、音のムードも物々しくない。アウトロのそれまでのBUCK-TICKにはありそうでなかったかもしれないダークロマンスなシンセが華。

何ならアルバム後半に置かれていてもいいというくらいにクライマックス感のある曲だが、これが前半部終了くらいの位置というのがアルバム全体を通した強大さを物語っている。

 

 

 

 

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7. Ophelia

 

春は誘って 君は風に舞って

花はそよいで 手招いて麗らかに

夏は夢夢 君は毒に酔って

極彩色 華やかな衣装で歌う

 

オフィーリアの歌。美メロ職人星野英彦の本領発揮。

雫が伝うような美しいイントロから始まるが、やはりBメロ〜サビにかけては他のアルバム曲にはないほど音圧が激しい。息もできない水の底に沈められていく。

 

季節は巡って 君は夢になって

夢喰いたちは やがて恋に堕ちる

君の匂い 死の香り

 

めちゃくちゃ好きな曲なのにアルバムツアー以降全然やんなくなったから筆者は泣いていましたよ。

 

 

 

8. 光の帝国

 

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トッチッチッチッチクチッカンッ! で始まるスーパー今井タイム。ここから3曲は作詞・作曲今井寿ワールド。軽妙であまりに気持ちよすぎるエレクトロサウンド稲垣足穂の影響を受けたシュルレアリスムな歌詞が乗る。ナイトポーターが視ていた巨大な歯車とアンモナイトの記憶の奥で動く錆びた夢の…

今井さんはどこかでクラフトワークYMOだかを「カチッと組み立てられてハマッた音作りが気持ちいい」と評していたが、その言葉をそっくり返したい全ての音の鳴りが気持ちいいエレクトロ・ポップ・チューン。こんなの好きにならないわけがない。逆にスカスカになってもいけない曲だからこそ、ユータさんのベースの活躍度が高い印象。

 

この時点でも全方位反則勝ちみたいな曲だが、なんと更にライヴでは曲中に櫻井さんがジョン・トラボルタみたいな

 

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↑をやりはじめて客席から「Fooooooo !!!」と返すのが恒例になった。何なんだよこれ。

 

 

 

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9. ノスタルジア - ヰタ メカニカリス -

 

タイトルの元ネタは上にある稲垣足穂の「ヰタ・マキニカリス」だとか。淡々とmachinaが駆動していくようなリズムサウンドに謎の言葉が流れ続けるポエトリーリーディング『ミシンと蝙蝠傘の出会い ダイナモが可動する』

実験的楽曲……と呼ぶにはポップサウンドに聴きやすく纏っていて、むしろ完成美が高い。

 

No.0ツアー前半では一応ライヴ中に演奏されていたのだが、ツアー後半にはアレンジされてオープニングSEになるという出世なのかハブなのかよう分からん異動をくらっていた。いやSE版もカッコ良くてお得だろ。

 

 

 

IGNITER

IGNITER


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10. IGNITER

 

今井作詞3曲目は過去作Mona Lisa OVERDRIVEのようなモードにNo.0の呪霊が憑依したみたいなテンションで特攻していくオフェンシブなナンバー。先2曲はややアルバムの中で独立しているイメージがあったが、こちらはラスト3曲へのリード曲の役割を担っているかのよう。

今作の今井作詞3曲は、エレクトロ・ポップ、SEっぽくてカオスな曲、突撃していくようなインダストリアルロックと、丁寧なまでに「今井ワールドはこうでしょう」というラインナップになっているのが印象的だ。

 

 

 

11. BABEL

 


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櫻井「バベルの塔の話ですけども、天を目指す、神に近付づこうとするのは愚かな所業だという一説がありますよね。その愚かの象徴が私であり、人であると。」

 

BUCK-TICKの2018年型ゴシックアンセム。かつての『十三階は月光』を彷彿とさせるが、当時にはなかった抜群の重量とノイズ、そして低音から高音まで覆い尽くす音の厚み。

何より最大のポイントは、これまでゴシック色の強い曲では「死への想い」を歌ってきていた櫻井敦司の歌詞が、この曲では明確に「生の賛歌」になっているところだろう。

 

今宵は 天を貫く

おまえのもとへ 我はBabel

喜び  悲しみ  怒り

欲望の果て 我はBabel

 

まさに詞・曲・音すべてにおいて「これぞBUCK-TICK」と言ったところ。

 

 

 

 

ゲルニカの夜

ゲルニカの夜

12. ゲルニカの夜

 

アルバム前々作からなる「シュルレアリスム芸術モチーフシリーズ」のような流れの、総締めにあたる。今井のデモの時点で「ゲルニカ」の題がつけられ、それを下に櫻井が渾身の詞を手掛けたという。

 

 

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櫻井「なぜピカソは『ゲルニカ』を描いたのか、その想いも薄々知ってはいたんですが、ゆくゆく掘り返してみたり…

 最近、間接的ではあるんですけど、僕は戦争反対ということをまず当たり前のように言いたいんです。それを作品として、歌、曲にするにはどうしたらいいかなと。

 でも、あまりにも自分からかけ離れたものは嫌だったんですね。そこでふと思い出したのが、地元・群馬県藤岡市に一軒だけあった映画館で、そこで生まれて初めて観た映画が犬の『ベンジー』だったんです。親子3人で。でも、2本立てのもうひとつが、前橋市の空襲を映画化した『時計は生きていた』という作品で、『ベンジー』がどっか吹っ飛んじゃったぐらいインパクトがものすごくて、ちょっと動けないというか。金縛りにあったかのような。

 (…)そういった体験の中で、空襲、ゲルニカ、兄、映画館とつないでいったら、こういうことになりました。」

櫻井「言葉はすごく考えて選んで。不快感を与えないように、かといって誤魔化さずに。」

 

 

お菓子が欲しかったけど 一枚のガム  半分つっこ

ママがそう 一緒だったら 膝の上が良かったな

 

突然 空が狂い出す

突然 僕らは消えた

 

離さないで  千切れちゃう 泣いたり嘘ついたりしないから

許して下さい  ねえ神様 何でよ 何でよ お願いだよ

 

ああ 僕はもう踊れないんだ 糸の切れたマリオネット

ああ 僕はもう笑えないんだ 首の取れたマリオネット

 

 

君の躰 吹き飛んでゆく 愛する者達を連れてゆく

僕の町が燃えているよ 愛している 愛している さようなら

僕はどうだい どうすればいい 愛とか恋だとか歌っている

君はどうだい どう思うかい 誰かが誰かを殺すよ

君の躰 吹き飛んでゆく 愛する者達を連れてゆく

僕の町が燃えているよ 愛している 愛している さようなら

 

 

そんな夢見て  目覚めた

早く家に帰りたいよ

早くママに会いたいよ

 

 

 

──「複雑な話題にこそ、絶対に自分の体験や立場のなかから語らないといけない。決して何者かの言葉を盗ったり偽ったりしてはいけない。それが深刻な問題であればあるほど、些細なズレでも誰かを裏切るから。人の命を奪うから」という教えを守る時、櫻井さんのこの歌詞に向かう姿勢は、本当に誠実で正しい と私は思う。

 

 

 

胎内回帰

胎内回帰

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13. 胎内回帰

 

Melody あなたの鼓動

Harmony 胎内の爆音

 

愛しているよ 叫んでいる

爆撃機の風が 切り裂いた

愛してます 囁いた

わたしは笑ってそう 飛び立つ

 

ああ  もう一度 ああ  もう二度と

あなたは涙で もう見えない

 

 

ステージで全身を振り絞るように歌いきる櫻井敦司の姿が、まだ記憶に新しい。残酷に時間を刻むように無機質なリズム。そこにやや浮いた生音らしいギターのストロークは、無情から無情へと飛び立つ爆撃機の男をドライに描きたてる。

死は死であり、その先は何もない無である。そう言い切るかのように、容赦ないほどにこの曲の最後はバチンっと終わりを告げる。アルバム『No.0』の終了。

 

 

 

 

 

 

いくつかのインタビュー内容は、こちらの記事から引用させていただきました。

 

 

壮絶なアルバム。である一方で、改めて目を引くのがその纏まりの良さ。

曲順で見ていっても、バンド5人のエネルギッシュなグルーヴで運んでいく冒頭3曲から、5~7曲目にまるっと並んだ星野曲、8~10曲目の今井寿空間、そしてラスト3曲で櫻井敦司が魔王となり少年となり爆撃機に乗って幕を閉じる。若干セルフパロディの域に突入しているかというくらいに纏まりが良すぎる曲配置だ。

このアルバムを作るに当たって今井寿は「難解なものをポップに」「(単に分かりやすくではなく)難解なイメージを強さに変える感じ」にするという荒業を意図していたと話していたが、まさにそれによって「完全なる新境地」を「完全にいつものBUCK-TICK」っぽく聴かせる、或いはその逆に別次元にまで上手に導いてくれるような作品となった。

何かと革新や変化、新境地の凄まじさに目が行くバンドだが、しかし一方での「リスナーのニーズを出来うる限りきっちりと拾おうとする」「絶対に腕を引っ張ってくれる」姿勢の強さもまた、今改めて痛感させられる。

 

 

 

先にも上げたように、BUCK-TICKはこのアルバムで改めて「櫻井敦司の表現力」が大きく取り上げられるようになった。……思えば、最初期のBUCK-TICKが語られるときにはとかく「全員演奏が下手。そしてボーカルの声が弱い」といった言われを受けることが多かった。それこそ『惡の華』や『スピード』くらいまでしか知らないという人にはずっとその印象だろう(勿論その時期はその時期でセンスとアンテナに全振りした凄さがあったわけだが)。

しかし、近年の櫻井敦司は数々の大曲を全身を振り絞って歌いあげ、BUCK-TICKを耳にした者達を圧倒させていた。指先一つにまで神経を張り巡らせてステージを創り上げていた。そして最後まで全力で歌いきり、私達の前から去っていった。そこにいたのは誰にも太刀打ちできない生涯のフロントマンだけだ。

BUCK-TICKボーカリスト櫻井敦司を、私は絶対的な敬意をもって称え続けていきたい。

 

 

 

 

 

 

さて、このページはあくまで「アルバム・No.0の紹介」。それ以上の曲にまで広げるのは冗長なので控えるべきだろう。……しかし、どうしても『胎内回帰』のその後、この作品の真の最後に持ってきたい曲を一つ。

 

No.0ツアーの前半、公演のラストソングという役目を与えられておよそ8年ぶりに披露されていた楽曲。 “無情な死” で終わったかのような『胎内回帰』の後にあの曲が “慈しみの弔い” を付け足して、「No.0」の真のフィナーレになっていたと私は思う。

 

 

 

 

 

 

お願いがあるんだ さよならの季節

神様  夢を

 

夢を見せておくれ 幻でもいい

目覚めの朝 遥か 夢で会えるね

 

小さな小さな君は やがて空になり

大きな大きな愛で 僕を包むよ

 

 

 

改めて、ありがとうございました。

 

櫻井さんへの追悼コメント群一部 (+ 私事近況)


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◆ここから下は筆者の近況だけです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心なし、意外と落ち着いているというか、荒れてはいないと思います。

 

正直なところ、ここ数年で心の準備は始めていたというのもありました。

昨日まず聞いたのが BUCK-TICKで繋がっている友人の悲鳴だったから、僕の方は冷静な受け役にシフトしてしまった、というのもあるかもしれません。

単に私が薄情な人間だからかもしれません。

「それはお前まだ気が張ってるんだよ」「辛くならないのはそれはそれで冷静じゃないんだよ」と言われれば、そうかもしれません。でも気なんか一生張ってたっていいとも思います。

 

だって、一番「人が死ぬこと、生き続けること、それでも花はまた咲くこと」を音楽を通して説いていてくれていたのは、他の誰でもなく櫻井さんじゃないか と背中を叩かれる思いもあります。

 

 

ただ、曲を聴いていてMVとかライヴでの場面とかをぼんやり思い出すとき、櫻井さんが他のメンバーと一緒に映っているシーンが浮かんでくると胸がふっと痛くなります。残された4人の想いについて勝手ながら頭を過ぎってしまいます。

 

あと、丁度今日、お気に入りのお店で注文していた黒いお洋服が届いて、「あー、DIQに着ていくつもりだったな。」とか思ってしまいました(そのお店の店長さんも一ファンとして哀悼の気持ちをSNSに上げていました)。

 

 

 

 

めちゃくちゃ変な話をするんですが、自分は老いていくことってそんなに怖くも嫌でもないんです。

それは──歳をとったって格好良い人達が画面の先やステージの上にいて、きっとその最たる場所に櫻井さんがいたから。「櫻井さんやBUCK-TICKたちみたいに、格好良く力強くしなやかに歳をとっていけば人生いつまでも楽しんでいられるな」、などと信じて生きてきました(流石にあんな美顔で歳を重ねるのはハナから無理だけど)。それは、例えその櫻井さんがいなくなってもまだまだそう信じていられる気がします。

 

──って話しちゃうと、やっぱり「60代、70代、80代になった櫻井さんはどんな御姿や言葉や歌声で 愛と死を説いていただろう」って考えちゃうよね。紛れもなく、生きていく上での指針でした。その高潔さにはとても届かないけれども。

 

 

 

 

やっぱりというか、それしか聴く気がしないというか、昨日からずっとBUCK-TICKを聴いています。

 

改めて、もうどの曲もどの曲も、最高に格好良いです。世界中のどの音楽よりも格好良いです。

櫻井敦司BUCK-TICKを叩き込まれて育った私は絶対に大丈夫だという、意味不明な自信が湧いてきます。自尊心たっぷり行こうぜ。

 

 

 

「LEDIEFAHT」というページ名は、 “LIFE” と ”DEATH“ のアナグラムなのですが、まんま『ONE LIFE, ONE DEATH』から拝借しました。

 

私も頑張って生きていきましょう。

 

 

 

ただ、今井さん、星野さん、ユータさん、アニイさんは、今はゆっくり休んで、長生きしてください。

 

2023.10.24 BUCK-TICK


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10月21日には、Lillies and Remains渋谷公演にBUCK-TICKのバッグを担いで参加していました。

 

 

 

 

 

櫻井敦司 さん

 

BUCK-TICKを初めて聴いた時から「歌声とメロディが超格好良いな」と惹かれ、楽曲『キャンディ』で生まれて初めて歌詞の内容について熟考させられ、「生と死」に対して真摯に向き合う態度を教わり、そして櫻井さんの生涯を表層だけでも追体験するようにBUCK-TICKというバンドを追いかけていました。

 

デヴィッド・ボウイは文字通り最後までロック・スターとして作品を遺しましたが、櫻井敦司は文字通り最後までステージ上に立ち続けました。櫻井さんは最初から最後まで世界で一番格好良かった。

 

 

幸せでした。

本当にありがとうございました。

 

 

 

今井寿 さん

星野英彦 さん

樋口豊 さん

ヤガミトール さん

 

これからもついていきます。よろしくお願いします。

 

for  BUCK-TICK

 

RAY『Camellia』本日発売 他


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うーん、流石だなあ〜って。

 

大幅なメンバーチェンジなどがあってから様子見というか、どうなっていくのかなと遠巻きに見ている形になっていましたけれど、「流石だな」に尽きます。一年以上現メンバーで地盤を固め続けていた姿勢にも納得。

シューゲイザーという音楽ジャンルを標榜しつつ登場してきたグループで、当然今作にもそういう音が全編に渦巻いているのですが、良い意味でそのジャンルに束縛されないアルバムや音楽になりきったんじゃないかと思いました。外付けっぽいジャンル区分ではなく独自な「RAYの音楽」がもう完璧に仕上がっているというか。

 

 

菅さんはじめ作曲陣を調べようと見てみたら結構に錚々たる面子。ノベンバマツモト参加しとるやん。

 

 

……あとは1ミリも名誉じゃないけど、私の「全然V系じゃないけど私がV系的なものに求めるのはこういうのですゾーン」のど真ん中にくい込んでくる感じというか (笑)。いやそれはV系云々などというよりもずっと核心的な、“かつてLUNA SEAラルク、或いはPlastic Treeのアルバムを集めていた時のようなときめき” というかな。「キャッチーでアンニュイだけどキレッキレなサウンドが鳴ってて、美しく叙情的でありつつもけたたましくかつ多彩で、次の曲次の曲が楽しみになる」、そんな感じ(BUCK-TICKは、まとめ買いみたいな揃え方をしちゃったからかそういう楽しみ方はあまり出来なかった気がする……)。

RAYのアルバムには一作目に出会った時からずっとそういう “ときめき” があったと思います。これからも楽しみにしています。

 

 

 

 

他所の話題。東京酒吐座も再録盤出すのか。

 

 

 

 

ふと「現在のトリップホップ」と言えるものをなんにも触れてないな、そもそもそれってどんな感じなんだ? と思って色々覗いていたら、a.s.oという海外のユニットを見かけました。

 

 

王道。目茶苦茶気持ち良いですね。

一応、トリップホップは基本的に好きで、かつて真面目に音ゲーアプリゲームをやってた頃は「ほぼ全曲トリップホップみたいな音楽ゲームコンテンツ出ねえかな」とずっと思いながらやってた(その時点で全然真面目じゃないだろ)というくらいには好きなのです。いや、じゃあ何知ってんだと言われてもご丁寧にマッシヴとかポーティスとかビョークくらいなんですけどね……。あと一時代のBUCK-TICKと、INORANソロと、藤井麻輝と、うん。

 

 

 

トリップホップ」というジャンルを認知したのはINORANの『想』からでした。しかしMonsoon Baby、名曲すぎる。

 

 

 

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やっぱり無期迷途には合ってるトリップホップ。というかこのゲームの作中BGM自体が大体そんな感じなんだが。

無期迷途のBGMと言えば丁度今やってるイベントでクラシックの『ジムノペディ』が使われていて、「考えてみればこの辺のピアノクラシック曲とトリップホップの手触り感ってなんとなく近いかも」などとも思い、改めてぽつぽつ聴いてみたりしています。

 

 

 

 

 

諸作品への愛敬を感じない音楽語りみたいなものに辟易としてきて、だったら音数や旋律を極力なくした古典音楽の方でも確かめていたい気分というのもあります。あゝ最先端の波に乗る金魚、誰よりも先に行き着く先の

 

 

 

大切な音楽を大切にしていきたいですね。

 

 

 

 

追記  Hope you get better soon. We love you.

 

PEACE

PEACE

 

2023.10.7~8 LUNA SEA DUAL ARENA TOUR in Kアリーナ横浜


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──そんなに精神統一するように向かったわけでもなかった『UNENDING STYLE』公演だったが、途中からどんどん「この公演が私にとって一つの節目なんじゃないか?」みたいな気分になって、そのまま連れ去られていってしまったのです。 (主な感想)

 

 

 

 

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なんちゅうもんを食わせてくれたんや…なんちゅうもんを…

そんな感想に引きずり込まれた再録版『LOVELESS』と『G.』が既に遠い記憶ですらあるかのよう。

誰もが「元々仕上がってたものを今録り直して一体どうなるんだ?」と期待不安入り混じりながら迎えた音源は、鮮やかな音色の構築美と、変わらないどころかより迷いなく突進してくるパワーに満ち溢れたテイクだったと思う。

特にLOVELESS──筆者は「中学の頃に出会ったこの曲で初めて『曲展開』と『音の組み立て』と『空間表現』と『一曲目というテーマ性』と『バンド一人一人を魅せること』を教えられました」などとぬかすような奴なのですが、改めて「何でこのギターアンビエントみたいな出だしから、スムーズに音の大洪水のような大サビに辿り着いているんだ!?」と繰り返し聴く作業に入っていた。LOVELESSは筆者が初めて出会った「聴く造形美」だったし、それを聴いた手応えや衝撃まで含めてMOTHERとSTYLEの再来を思わされたのです。

というか聴いちゃった後、「LUNA SEAが核心過ぎて現在の若手の誰を聴いてたらいいのか分からない」という生涯の課題に正面衝突してしまったんだよな……

 

LOVELESS

LOVELESS

 

ええい、配信2曲でそんな長話してられるか! Kアリーナ2daysに行ってきたんじゃ!

 

 


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珍しく正午くらいから物販に並んでいたら、会場限定CDのところで「おめでとうございまーす!!」とチャリンチャリン鳴らされて引換券渡された。すげえ。早起きは三文のVAMPIRE'S TALK。渡される時にスタッフから「ついさっき書いてもらったばかりなんですよ〜」なるご説明を受けました。

 

 

 

 

 

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初日は『MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』公演。一応ツアーなのでセトリの詳細はできるだけ書かないつもりですが、まあ、ついにあの曲が聴けたというのもあり、結局やらないんかいという曲もあり (笑)。LUNA SEAライトは改めて買いました。

 

まず何と言ってもRYUICHIの喉の復活ぶりに尽きた。序盤から絶好調な様子だったし、何よりあの荘厳な大曲GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜』絶唱しきってアリーナ空間を圧迫する様に感服。

GENESIS OF MIND──彼らが20代前半の頃に書いた亡き親友への鎮魂の曲を、50を迎えた今奏でているということに幾重もの重みがあるし、それだけの渋い深みとパワーが漲るテイクだったと思う。「ある意味原曲の頃はまだ曲に対して若かったのではないか」とまで思わされた。

 

筆者的注目曲だった『FACE TO FACE』はよりインダストリアルみの増したサウンドになっていたし(この曲は良い意味で「インダストリアル」というジャンル分けが正しい気がしないが)、『AURORA』もバンドの重量を得たソリッドなサウンドになっていてまさに生まれ変わったかのよう。いずれも再録盤は大分聴き応えが変わっているだろうなという予感が宿る。

そしてかの “See tomorrow and future of the world.” がその手前のMCから完全再現されてて変な笑いが出た。ソーデスソーデスって「so this song is」っつってたのか……(呪文解読)。

 

 

 

まさかの「当時のMVそのままスクリーンで流すシリーズ」に追加された『ROSIER』(厳密に流しっぱなでもないけど)。いつ見ても圧倒的な「時代の主役の到来」感。未だにこれ以上に格好良いバンドMVを他に知らない。こんなところで何ですけれども故・大坪草次郎監督に最大限の感謝と作品愛を込めて。

新設したてのKアリーナでJがマイクスタンドを投げるのは妙な書き初め感がありました。

 

 

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アンコール明け2曲目前、ここから予想もしていなかった写真撮影OKの場に。タグは『#LUNAPIC』。「急遽!」と言っていた気がする。いっちばん最後にRYUICHIが「言い忘れてたけど、動画は上げるのは駄目だから(笑)」って言ってたけど、でもやっぱり本当は音を届けたいよね(言われる前に動画で撮っちゃったやつを聴いたらスマホ音質がクソだったので、まあこれで判断されてもな、とも思うけれども)。

 

本日最後はやはり『MOTHER』。28,9年前のアイルランドの映像と共に披露されていく。

 

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なんとなくですが、アイルランド撮影はLUNA SEAに、そしてメンバー一人一人に大きな転換点をもたらした位置なのかなと勝手に思っているので、大事さの込み上げる映像でもありました。そこに重なる今MOTHERを演奏するメンバーの姿。初期LUNA SEAの乾いた世界に慈しみの雪が降るような旋律に包まれて初日の幕を閉じた。

 

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親愛なる君へ──(安定のRAIN日和 in横浜)

 

 

 

 

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2日目『UNENDING STYLE』公演。スタンド席ながら結構良いポジションが取れたんじゃないかというのもあって、「音が良い」とウワサの新設Kアリーナの恩恵を存分に浴びれたと思う。真正面からめちゃくちゃ良い音でアリーナを包み込む始まりの愛曲『WITH LOVE』を聴けたという時点でほぼ昇天していた。

 

そして中盤『RA-SE-N』の空間圧迫力とメンバーの気迫を浴びながら「相変わらずの神曲。やっぱりこういう曲がLUNA SEAが宇宙一のバンドたる一つの所以だよな」などと浸っていたのだが、問題はそれに続いて披露された曲だった。

『SELVES』。STYLEが輩出した怒涛の主要曲たちを見送ってあの時代に残っていったような、陰の傑作曲。勿論筆者は初のライヴ拝聴。

 

 

圧倒的だった。正直、あの時聴いて自分が感じたものをちゃんと憶えている自信がないのだが。──BUCK-TICKで言う『無題』に近いような “絶対的深淵” に触れた気がしたこと、「音楽理論どうこうという以上に、才気先行の暗黒芸能みたいな曲だよな」と聴きながら思っていたこと、ラストのアレンジでSUGIのヴァイオリンが入って闇の深くに優しく包みこまれたこと、とにかく直後に「今まで自分が行ったライヴでおそらく最高のものを聴いた」とか言ってたことは憶えている。結構憶えてんな。

この頃のLUNA SEAの楽曲でも筆者が特に好きな世界観がSELVESだっただろう。やや強引に言い換えればINO曲とSUGI曲の一番好きな部分を闇一色に溶け合わせたみたいな曲。何よりメンバーが度々口にした「昔の曲なのに完全に新しくなっている」という言葉のとおり、ずっと好きだった音楽と未知の領域に落ちたような感覚の双方が混ざり迫りくる奇妙な体験を、筆者はこのSELVESをもって思い知らされたのかもしれない。

 

 

とまあSELVESがダントツのMVPをかっさらっていったかのような話になりましたが、一方で本編ラストが『HURT』。拙者ラストをHURTで締める流れ大好き侍。あの破壊的ですらあるミドルなリズムから全てを燃やし尽くして終わるような感じが良いんですよ。SELVESと真逆っすね。マントルのようなスクリーン映像も曲のイメージと非常にマッチしていて良かった。

また『IN SILENCE』が自分が聴いてきた中では過去イチ美しかったかなと。流石SUGIZOも褒めるKアリーナ。

 

 

両日通して、やっぱり国内の暗黒美を魅せてくれるロックバンドで一番大きな会場を取れるのは今なおLUNA SEAなのかな、とも思った(某シエルさんはそこに含んでいいのかは分かりません。BUCK-TICKみたいに「何をやっても根っこは闇」みたいな印象でもないし)。依然強大なバンドがここにあることを実感する。

 

 

2日目ラストはやはり『FOREVER & EVER』

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スクリーンに映し出されるのは、かつて擦り切れそうな活動休止宣言と共に演奏された時の映像。しかし、今LUNA SEAは27年の時を経てここでその曲を演奏している。

 

……メンバー紹介の時に、Jがちらっと「こんな瞬間、二度と来ないと思ってました」と言っていた。その言葉の意味するところは自分には分かりかねるけど、例えば『STYLE』の後にバンドを一度止めざるをえなくなった時のこととかを思っているのかな、などと後になって考えたりする。そしてJは「だけど、物語は続いていた」と。

 


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“Close your eyes, open your mind,

 going back for a moment of time

……

 So, remember

 That body, soul, mind, blood, tears, dreams, love, pain, and joy

 Cause, they're all so precious, 

 forever & ever”

 

 

『FOREVER & EVER』にあるJからの英詩が、今このツアーの為にあったかのように聞こえてくる。いや、いつだってこの曲の歌詞は、その時々のLUNA SEAの為にあり続けてきたのだろう。これからも。いつまでも、いつまでも。

 

 

改めて『STYLE』というアルバムは、傑作でありまた理想的な作品だったのだと思う。メンバー全員のやりたいこと、格好良いと思うもの、彼らのアンテナが還元した音楽性、磨かれたスキル、衝突と発明、そして、地に足のついた強い意志表示。それらが全て高濃度のところで仕上がった瞬間のアルバムだろう。きっとバンドが作る作品として理想そのものだ。

 

……そんなにSTYLE派だったか? と我ながら不思議ですらあるのだが、まあ見事にWITH LOVEに酔いしれ、G.の本気シャウトに喝采し、RA-SE-Nの圧迫感に震え、SELVESで未知の世界に連れ去られ、HURTの破壊力に熱し、IN SILENCEの美しさにさらされ、FOREVER & EVERを奏でるLUNA SEAを見ていたのだった。

何より、全然そんなつもりじゃなかったのに「自分と自分の好きな音楽」の 一つの節目をくぐってしまったような気分で終演後には会場から歩いていた。節目を迎えたらどうするんだ? 次のクールに移行します、「UNENDING STYLE」だし。そんなん言うたらルナフェスだって何かの最終回かと思ったけど全然みんな続いてますからね。そういうことです。

あと、非常に個人的ですが「自分の音楽への触れ方」を十代の頃から見つめ直そうという機会にもなった気がします。原点から見つめ直すのはこっちの方でもあったという。

 

 

 

何とは言わんがやらなかった曲も聴きたかったけどな〜〜!!(ていうかやらなかった曲全部だよ)

あと名盤再演公演に立ち合ったからこそ、改めてREBOOT後の曲オンリーのライヴ盤を出してほしいなあとかも思います。過去の曲に対してライヴver.が周知されきっていないの、その時点でフェアじゃないんだよなっていう。SELVESは今のライヴで披露されないとはどういうことかを思い知らされた衝撃でもあったわけだし。

 

 

 

 

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再録STYLEで楽しみにしている曲? 

期待しているもの?

うーん……


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LUNA SEAっていう人達の、生き様かな。」

 

「エロスとタナトス」と称されるもの、何? 〜クリスタルに溶かされて〜

 

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エロス:生の欲動。快を求める傾向。生存を確保し生物を統合し続ける動き。生存本能。 云々

タナトス死の欲動。不快を選択する傾向。有機物を無機物の不変性に帰そうとする動き。消滅欲求。 云々

 

 

 

おっそうか。何いきなりノムリッシュFFもドン引きな中二語解説もどきからやってんだ。私は学者でも何でもないので「大体こんな感じのことが書かれてるよね」くらいのことしか分かりません。

 

 

 

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懐かしの『FF零式』をやっています。本当はやってないFFをどんどんやっていくべきだとは思うんですけれどもね(一応FF14しばらくやってました)。

零式は筆者の中で「坂口退社以後のFFの、最高作に “なり損ねた” 作品」みたいな印象があったので、このタイミングでもう一回やってみたらどうかなと思いまして。

 


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クリスタルによる「死んだ人に関する記憶は余計なので消します」というトンデモシステムが敷かれている世界・オリエンス。そこで軍事侵攻が勃発し、侵攻を受けた朱雀領の秘密部隊及び候補生チーム「0組」に所属する14人の十代男女を主役とした物語。

まあ今回はさわりだけでまたちゃんと書くかもしれないし、別に書かないかもしれない。

 

 

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「最高作に “なり損ねた”」というのは、ゲームデザインからシナリオまで全方面において「コンセプトややろうとしてたことはとても良かったと思うけど、あまりに粗が多すぎた」からですね。

学園パートと戦場パートとを反復するコントラストから始まって、14人それぞれに行き届いたFF式キャラ特性分けや、総員展開らしいパーティチェンジを前提とした作り、ミッション性の高いゲーム部分などなど趣旨はすごく理想的だったと思います。死と群像劇を主軸に置いたシナリオテーマも良い題材だったんじゃないかと。

でも、その全てが手放しで褒めるには「もうちょっとどうにかならんかったんか」って感じの作品。世界観とか軍事展開も今見るとかなり雑っぽいんだよな……(軍事描写がファンタジー的空論では許されなくなったような時代性も感じつつ)。

 

 

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あまり手厳しく言うのも何なんだがやっぱり好きになれない独断行動カップル。まあ、FF10ティーダのムーヴってあの世界の第三者からしたらこんな感じだったんかな(※この場合主にティーダ以外の面子が道を違えた末に死ぬものとする)って気分になります。「スポーツの絆は国境を越える的スピリット」が足りなかったのだ……。

 

 

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私が公式の主人公代表です。エース。ヴァンよりは目立っている主人公代表。バッツとどっこいどっこいくらい(世界がどんどん目茶苦茶になっていっても淡々と前に進んでいく感じも何だかバッツ的だ)。ちなみに彼もチョコボ愛好家で、またif ENDではパーティの女性陣をスルーして意外すぎるサブキャラと付き合っているらしい。バッツの後継者は優秀だった(いやバッツもど優秀な男やっちゅうねん)。

というかパッケージ顔だけアップで見るとまあまあhydeですね……。

 

 

 

閑話休題。そんな感じで死の記憶も持つことなく戦地へ駆り出されていく十代の戦士たち。先にも言ったように戦場部隊でありつつもまだ候補生の身なので、バチバチの前線任務パートと学園生活パートとを往復するゲーム展開が特徴的。


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FF8みたいなもんかとも思われるかもしれないが、何かとまだまだ平和っぽかったFF8に対し いきなり目前までの侵攻と死線から始まる零式はとにかくギリギリで余裕がない。何より「死んだ人に関わる記憶は消されていく」というクリスタルの力の存在が常に彼らの言動や思考を取り巻いていて、来たる最期への予感をちらつかせる。

 

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──なんとなく、「エロスとタナトス」という言葉がずっと頭にちらつくような作品である。戦士だからといって、死者の記憶がなくなるからといって、しかし彼らは人並みに恋をし、誰かと日々を過ごして、そして死んでいく。

 

 

ちなみに前回の話題から『火の鳥』をカラー版で再読し始めたのだが、こちらもそういえばこんな様子だった。より生々しい。

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──筆者はここ数ヶ月、「作品の話をする時にキャラクター談議ばかりになってしまう流れはもう禁止にしよう」という謎のルールを自身に課していました。謎すぎてすまない。

まあ単純に古典RPGで育った身としてキャラクターにばかり話題が集中する在り方への疑問が抑えられなくなったというのもあるし、あとやっぱり、ソシャゲを中心にどんどん世の中の二次元作品が「エッチさのチキンレース」の度を上げていく様子への忌避感もあったと思う。多くが「エッチさ」であって「エロそれ自身」とは直対面しないというのが何ともチキンレース

品がないザマスというのとはまた別の根本的な歪さというか、何かが露骨に欠けている印象がチキンレースが加熱するほどどんどん強くなっていくような感覚。天使たち低空飛行、ぎこちなくて笑う。

 

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──自分はある程度のデッドさや退廃的な雰囲気の作品を好む方だと思う。と言ってもおもいっきりハードコアみたいな作品はそれはそれで手に取らないので言えたものでもないのだが。世間的にはFF零式でも「残酷すぎてしんどい」という方もおられるのだが、自分はある種「これくらいで丁度よい」とか思っているところもある。

死の欲動」なるタナトス。まあさっぱり分からないのだが、例えば一つにゆるくふわふわした作品よりも血も乾きそうな作品を望む感覚とかが、翻ればその一種だったりするのかなとか思ったりもする。大切に想うのはゴージャスな装飾よりも血と骨

 

死のムード蔓延る世界だからこそ、そこで力強く生きている人々が、異性が、恋情的にも人間的にも美しく焦がれて映るのだろうというのは(そんな綺麗事でもない話だが)、ゲーム体験としても伝わるものがあるんじゃなかろうか。寄り道が長くなったがFF零式はそこに根本的なテーマを置いた作品でもあるだろう。

そして単に性と死の対比構造が描かれているというだけでなく、物語最後にある “最も死を恐れていた男が終戦後に大成し、愛する人に看取られて死んでいった” というエピローグこそが、おそらくは「エロスとタナトス──生と死の同一」という御題目を締め括るにも相応しいポイントだったのではなかろうか。うーんFF零式のことはもう十分書いちゃった気がするな。

 

 

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筆者はクイーンが一番好きです。

 

 

そんなこんなで後期の最高作に “なり損ねた” FF零式。しかし一方で、例えば筆者が自由にFFの新作をプロデュースしていいと言われたら 一つには零式の再構築みたいな作品を目指してみたいなあなどとも思う「不全の決定作」だったりするのです。

 

まあ話も纏まったような気もするし、エース、あれ歌ってくれよ。

 

 

 

HYDEさんじゃないか…………いや……お前、エースなんだろ……?

FF零式の主題歌はBUMP OF CHICKENです。普通に名曲です。エースも作中で歌います。まあプレイして聴いてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エロス」なんてお題を上げてみたりもしたので、前々からこれは挙げてもいいかなと思っていたアダルトゲームを一つ

 

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『シェル・クレイル 〜愛しあう逃避の中で〜』

 

筆者が知っている中では一番好きなアダルトゲーム。2003年のアリスソフトのノベルゲームで、全然DL販売とかが出なくて入手難になっているという作品(本当に何で知ってんだ)。

話はというと、まあ父親公認の逃避行を遂げたと思っていた良家の男女が、その裏から忍び寄るお家事情、政治、情欲、貧窮と売買、そしてクスリ、などに翻弄され愛の在り処も失いながらそれでも何かを求めていくお話です。単にメイン男女が悲劇ぶっていくだけではなく物語に関わる誰もが運命と欲望に翻弄され、そのなかで性愛とは何か、生と死とは何かとを俯瞰していくようなお話。

 

きっちり紹介してみたいという気持ちもあるんですけれども、改めて起動するのもめんどくさいし(すげえ話長いし)、まとめ記事とかを漁ってみようにもその類いのものもあまり見当たらないという。プレイ動画くらいは流石にあるかも。

アリスソフトでは「異色作」と言われているらしいけど、“アダルトノベル” という文脈としては「超どストレートな王道」だったのではないかと思っています。丁度この曲のようにな。

 

 

 

数え切れない “クリスタル”   飲み込んで

『ONE LIFE, ONE DEATH』