2023.10.7~8 LUNA SEA DUAL ARENA TOUR in Kアリーナ横浜


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──そんなに精神統一するように向かったわけでもなかった『UNENDING STYLE』公演だったが、途中からどんどん「この公演が私にとって一つの節目なんじゃないか?」みたいな気分になって、そのまま連れ去られていってしまったのです。 (主な感想)

 

 

 

 

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なんちゅうもんを食わせてくれたんや…なんちゅうもんを…

そんな感想に引きずり込まれた再録版『LOVELESS』と『G.』が既に遠い記憶ですらあるかのよう。

誰もが「元々仕上がってたものを今録り直して一体どうなるんだ?」と期待不安入り混じりながら迎えた音源は、鮮やかな音色の構築美と、変わらないどころかより迷いなく突進してくるパワーに満ち溢れたテイクだったと思う。

特にLOVELESS──筆者は「中学の頃に出会ったこの曲で初めて『曲展開』と『音の組み立て』と『空間表現』と『一曲目というテーマ性』と『バンド一人一人を魅せること』を教えられました」などとぬかすような奴なのですが、改めて「何でこのギターアンビエントみたいな出だしから、スムーズに音の大洪水のような大サビに辿り着いているんだ!?」と繰り返し聴く作業に入っていた。LOVELESSは筆者が初めて出会った「聴く造形美」だったし、それを聴いた手応えや衝撃まで含めてMOTHERとSTYLEの再来を思わされたのです。

というか聴いちゃった後、「LUNA SEAが核心過ぎて現在の若手の誰を聴いてたらいいのか分からない」という生涯の課題に正面衝突してしまったんだよな……

 

LOVELESS

LOVELESS

 

ええい、配信2曲でそんな長話してられるか! Kアリーナ2daysに行ってきたんじゃ!

 

 


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珍しく正午くらいから物販に並んでいたら、会場限定CDのところで「おめでとうございまーす!!」とチャリンチャリン鳴らされて引換券渡された。すげえ。早起きは三文のVAMPIRE'S TALK。渡される時にスタッフから「ついさっき書いてもらったばかりなんですよ〜」なるご説明を受けました。

 

 

 

 

 

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初日は『MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』公演。一応ツアーなのでセトリの詳細はできるだけ書かないつもりですが、まあ、ついにあの曲が聴けたというのもあり、結局やらないんかいという曲もあり (笑)。LUNA SEAライトは改めて買いました。

 

まず何と言ってもRYUICHIの喉の復活ぶりに尽きた。序盤から絶好調な様子だったし、何よりあの荘厳な大曲GENESIS OF MIND 〜夢の彼方へ〜』絶唱しきってアリーナ空間を圧迫する様に感服。

GENESIS OF MIND──彼らが20代前半の頃に書いた亡き親友への鎮魂の曲を、50を迎えた今奏でているということに幾重もの重みがあるし、それだけの渋い深みとパワーが漲るテイクだったと思う。「ある意味原曲の頃はまだ曲に対して若かったのではないか」とまで思わされた。

 

筆者的注目曲だった『FACE TO FACE』はよりインダストリアルみの増したサウンドになっていたし(この曲は良い意味で「インダストリアル」というジャンル分けが正しい気がしないが)、『AURORA』もバンドの重量を得たソリッドなサウンドになっていてまさに生まれ変わったかのよう。いずれも再録盤は大分聴き応えが変わっているだろうなという予感が宿る。

そしてかの “See tomorrow and future of the world.” がその手前のMCから完全再現されてて変な笑いが出た。ソーデスソーデスって「so this song is」っつってたのか……(呪文解読)。

 

 

 

まさかの「当時のMVそのままスクリーンで流すシリーズ」に追加された『ROSIER』(厳密に流しっぱなでもないけど)。いつ見ても圧倒的な「時代の主役の到来」感。未だにこれ以上に格好良いバンドMVを他に知らない。こんなところで何ですけれども故・大坪草次郎監督に最大限の感謝と作品愛を込めて。

新設したてのKアリーナでJがマイクスタンドを投げるのは妙な書き初め感がありました。

 

 

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アンコール明け2曲目前、ここから予想もしていなかった写真撮影OKの場に。タグは『#LUNAPIC』。「急遽!」と言っていた気がする。いっちばん最後にRYUICHIが「言い忘れてたけど、動画は上げるのは駄目だから(笑)」って言ってたけど、でもやっぱり本当は音を届けたいよね(言われる前に動画で撮っちゃったやつを聴いたらスマホ音質がクソだったので、まあこれで判断されてもな、とも思うけれども)。

 

本日最後はやはり『MOTHER』。28,9年前のアイルランドの映像と共に披露されていく。

 

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なんとなくですが、アイルランド撮影はLUNA SEAに、そしてメンバー一人一人に大きな転換点をもたらした位置なのかなと勝手に思っているので、大事さの込み上げる映像でもありました。そこに重なる今MOTHERを演奏するメンバーの姿。初期LUNA SEAの乾いた世界に慈しみの雪が降るような旋律に包まれて初日の幕を閉じた。

 

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親愛なる君へ──(安定のRAIN日和 in横浜)

 

 

 

 

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2日目『UNENDING STYLE』公演。スタンド席ながら結構良いポジションが取れたんじゃないかというのもあって、「音が良い」とウワサの新設Kアリーナの恩恵を存分に浴びれたと思う。真正面からめちゃくちゃ良い音でアリーナを包み込む始まりの愛曲『WITH LOVE』を聴けたという時点でほぼ昇天していた。

 

そして中盤『RA-SE-N』の空間圧迫力とメンバーの気迫を浴びながら「相変わらずの神曲。やっぱりこういう曲がLUNA SEAが宇宙一のバンドたる一つの所以だよな」などと浸っていたのだが、問題はそれに続いて披露された曲だった。

『SELVES』。STYLEが輩出した怒涛の主要曲たちを見送ってあの時代に残っていったような、陰の傑作曲。勿論筆者は初のライヴ拝聴。

 

 

圧倒的だった。正直、あの時聴いて自分が感じたものをちゃんと憶えている自信がないのだが。──BUCK-TICKで言う『無題』に近いような “絶対的深淵” に触れた気がしたこと、「音楽理論どうこうという以上に、才気先行の暗黒芸能みたいな曲だよな」と聴きながら思っていたこと、ラストのアレンジでSUGIのヴァイオリンが入って闇の深くに優しく包みこまれたこと、とにかく直後に「今まで自分が行ったライヴでおそらく最高のものを聴いた」とか言ってたことは憶えている。結構憶えてんな。

この頃のLUNA SEAの楽曲でも筆者が特に好きな世界観がSELVESだっただろう。やや強引に言い換えればINO曲とSUGI曲の一番好きな部分を闇一色に溶け合わせたみたいな曲。何よりメンバーが度々口にした「昔の曲なのに完全に新しくなっている」という言葉のとおり、ずっと好きだった音楽と未知の領域に落ちたような感覚の双方が混ざり迫りくる奇妙な体験を、筆者はこのSELVESをもって思い知らされたのかもしれない。

 

 

とまあSELVESがダントツのMVPをかっさらっていったかのような話になりましたが、一方で本編ラストが『HURT』。拙者ラストをHURTで締める流れ大好き侍。あの破壊的ですらあるミドルなリズムから全てを燃やし尽くして終わるような感じが良いんですよ。SELVESと真逆っすね。マントルのようなスクリーン映像も曲のイメージと非常にマッチしていて良かった。

また『IN SILENCE』が自分が聴いてきた中では過去イチ美しかったかなと。流石SUGIZOも褒めるKアリーナ。

 

 

両日通して、やっぱり国内の暗黒美を魅せてくれるロックバンドで一番大きな会場を取れるのは今なおLUNA SEAなのかな、とも思った(某シエルさんはそこに含んでいいのかは分かりません。BUCK-TICKみたいに「何をやっても根っこは闇」みたいな印象でもないし)。依然強大なバンドがここにあることを実感する。

 

 

2日目ラストはやはり『FOREVER & EVER』

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スクリーンに映し出されるのは、かつて擦り切れそうな活動休止宣言と共に演奏された時の映像。しかし、今LUNA SEAは27年の時を経てここでその曲を演奏している。

 

……メンバー紹介の時に、Jがちらっと「こんな瞬間、二度と来ないと思ってました」と言っていた。その言葉の意味するところは自分には分かりかねるけど、例えば『STYLE』の後にバンドを一度止めざるをえなくなった時のこととかを思っているのかな、などと後になって考えたりする。そしてJは「だけど、物語は続いていた」と。

 


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“Close your eyes, open your mind,

 going back for a moment of time

……

 So, remember

 That body, soul, mind, blood, tears, dreams, love, pain, and joy

 Cause, they're all so precious, 

 forever & ever”

 

 

『FOREVER & EVER』にあるJからの英詩が、今このツアーの為にあったかのように聞こえてくる。いや、いつだってこの曲の歌詞は、その時々のLUNA SEAの為にあり続けてきたのだろう。これからも。いつまでも、いつまでも。

 

 

改めて『STYLE』というアルバムは、傑作でありまた理想的な作品だったのだと思う。メンバー全員のやりたいこと、格好良いと思うもの、彼らのアンテナが還元した音楽性、磨かれたスキル、衝突と発明、そして、地に足のついた強い意志表示。それらが全て高濃度のところで仕上がった瞬間のアルバムだろう。きっとバンドが作る作品として理想そのものだ。

 

……そんなにSTYLE派だったか? と我ながら不思議ですらあるのだが、まあ見事にWITH LOVEに酔いしれ、G.の本気シャウトに喝采し、RA-SE-Nの圧迫感に震え、SELVESで未知の世界に連れ去られ、HURTの破壊力に熱し、IN SILENCEの美しさにさらされ、FOREVER & EVERを奏でるLUNA SEAを見ていたのだった。

何より、全然そんなつもりじゃなかったのに「自分と自分の好きな音楽」の 一つの節目をくぐってしまったような気分で終演後には会場から歩いていた。節目を迎えたらどうするんだ? 次のクールに移行します、「UNENDING STYLE」だし。そんなん言うたらルナフェスだって何かの最終回かと思ったけど全然みんな続いてますからね。そういうことです。

あと、非常に個人的ですが「自分の音楽への触れ方」を十代の頃から見つめ直そうという機会にもなった気がします。原点から見つめ直すのはこっちの方でもあったという。

 

 

 

何とは言わんがやらなかった曲も聴きたかったけどな〜〜!!(ていうかやらなかった曲全部だよ)

あと名盤再演公演に立ち合ったからこそ、改めてREBOOT後の曲オンリーのライヴ盤を出してほしいなあとかも思います。過去の曲に対してライヴver.が周知されきっていないの、その時点でフェアじゃないんだよなっていう。SELVESは今のライヴで披露されないとはどういうことかを思い知らされた衝撃でもあったわけだし。

 

 

 

 

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再録STYLEで楽しみにしている曲? 

期待しているもの?

うーん……


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LUNA SEAっていう人達の、生き様かな。」