2023.5.27~29 LUNA SEA 〜この年齢のバンドとは思えない落ち着きのなさだった〜

 

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5月27日

 

 

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発表直後に「手首に対してデカすぎんだろ……」と話題をかっさらっていたLUNA SEAライト。だいたい手首に懐かしのヨーヨーを装着している気分だったのでマジででかい。ジャンプ漫画でこれをつけてる奴が登場したら確実にまだパワーを残している。

自分は専用ライトを渡される音楽ライヴ自体は初めてではなかったのだが、開演前のアナウンスで「作動しない場合はお近くの『LUNA SEAライトサポートセンター』にお問い合わせください。」とか言ってて初耳サポートすぎてビビりちらした。何なんだその手厚い謎機関。

 

 

 

 

『THE BEST OF LUNA SEA』Day1開演。CM映像のように歴代楽曲と映像を繋ぎ合わせたムービーが流れはじめる。その最後がLOVELESSイントロのアルペジオだったので、会場全体「このままLOVELESSに入る感じか?」と構えていたら、その流れを切り裂くようなドラムカウントと特効の火柱が上がり『ROSIER』へ。フルアクセルスタート。久々の客席からの「rosy heart〜!」だった。

 

演奏中やたら画質の良いカメラが360度旋回しながらスクリーン映像を撮っていて「比較的小さめの会場でも金あんなー」ともなり。いつぞやの延期アリーナでメインスクリーンなくて「いや金大丈夫か……」となった回が嘘みたいですね……。

そのまま続けて『TONIGHT』。初日は追加パートはなかった気がする。

 

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早くも白熱に満ちたステージからRYUICHIの「2023年5月27日、武蔵野の森……(ここでサングラスを外す)お前ら会いたかったぜー!!」があり、「もう声出しの感動で泣いちゃった」とのこと。今日までずっと一人で歌って戦っていたのも、声出し再開を最も切望していたのもフロントマンとして最先頭でファンと向き合っているRYUICHIだった。

 

そのまま『TRUE BLUE』『END OF SORROW』と名シングル曲が続いていく。いつものセトリとも言われるのだが、言うて近年地味に『END OF SORROW』『gravity』らはあまりやってないがち。

『SHINE』の時、RYUICHIがファンを煽る方に集中しすぎてギターソロ前恒例の謎奇声(RYU語)がなかったのはちょっと残念。筆者的にはIN MY DREAMの「しょー!!」と同じくらい重要。

 

「この曲も多くの人の心に止まったんじゃないかと思う……」みたいなMCの後に『IN SILENCE』が始まったので「もしかして俺のコト?」とチャラ男みたいな回答をしていた。そういえば開演が機材トラブルで押してて「IN SILENCEやるフラグかな……」とか思ってましたね……。

 

SUGIZOの手短なヴァイオリンソロの後に、RYUとINOも加わっての『RAIN』アコースティックアレンジ。以前もやったとのことで聴きたいと思っていたアレンジ! やっぱりライヴでの特殊アレンジはシンプルに華だ。

INOのアコギによるリズムが変則的に聴こえるうえにRYUのボーカルアレンジもキーの高低差が凄くて、美しいというより妖しさ歪さに昇華したようなアレンジだったと思う。

 

 

ドラムソロ──もとい真矢タイム。真矢を含む和装の人列が絨毯のうえに鎮座して、囃子の太鼓を演奏するという演目。初日は囃子とドラムのセッションみたいなパートもあったと思う。メンバーの中でも特に玄人楽器奏者っぽいのが真矢だと思っているが、一方でソロコーナーが一番分かりやすく派手でエンターテイメントなのも真矢なんだよな。

 

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続いてはやはりJの時間。「(声出しは)やっぱり全然違うぜオイ!!」というJの一言がもう声出し解禁の意義を端的に表していた。「けど、それぞれのペースってヤツがあるからさ!」というファン思いなJらしいフォローも。またこの一連のなかで真矢とJからも「うるうるしてる」というそれぞれの感動の言葉があり。

プロトROSIERみたいなサウンドをバックに、Jの見事な煽りによる熱気とコールが広がっていく。いやもう初日はこの辺りの流れが一番熱かった。Jのライヴミュージシャンとしての本領が発揮されたというか、「流石ソロで武道館やったベーシスト」という言われに納得しかなかった煽動力。

楽曲理論の話になるととかくSUGIZOにばかり焦点が当たりがちだけど、一方でというかライヴをストレートにアゲる力はやっぱりJの一番な見せどころなんだよなと唸らされたり。

そしてJに煽動されるままにリズムのクラップが始まり、そこからの「It's Time……to Go……!」

 

『INTO THE SUN』。レアな人気曲来たなーと思っていたがなんと2000年FINAL ACT以来だそうな。FINAL ACT以来!!? どっかでやってるだろうと思いこんでたから公演後に知ってめっちゃ焦った。当時のJからの燃え上がるような終幕ナンバー。RYUICHIの声はまだ完全復活ではない様子だったけど、むしろそのギリギリと張り上げるような歌声こそがこの曲には相応しかったとも。

 

その後は『STORM』からシングル・定番曲ラッシュが続き、『BELIEVE』で本編終了。筆者はBELIEVE締めが地味に好きです。

 

 

アンコールはまず『I for you』。サブスクリーンに歌詞が表示されてて「最近V系界隈でも見かけるというボカロ演出だ」とか思ったが、流石の月9主題歌ではボカロMV感が一切なかった。トレンディ。

そしてここで『Déjàvu』。まさに会場全体が声出しに慣れてきたところでの登場。サブスクリーンにまんま当時のMVが流れてていろいろと面白い。

 

満を持しての『WISH』の後、一日目のオーラスに演奏されたのは『Crazy About You』。私がかねがね「もっと演奏してくれていいのに全然演奏されない名バラード」っつってるやつ! 11年ぶりだとか(やっぱり例の部分が難しいから?)。逆にA WILL頃までは結構いろんな曲をやってた記憶なんだよな。

Crazy About You、特に思い入れというほどのこともないけど10代くらいの頃はLUNA SEAで10曲に入るくらい好きだったな。あの頃のRYUICHIボーカルが最も活きている曲というか。

 

メンバー全員が目を潤ませているんじゃないかと思うような熱い高揚のなか、終演後のBGMはLOVE SONGのピアノバージョン。初日なのにまるでツアーが一つ終わったかのような白熱に満ちた空気だった。

 

 

 

 

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しかしメンバーが言うように振り返ってみれば怒濤の3年弱だったように思う。いつだったかにSUGIZOが「コロナ禍でこの規模のバンドがツアーを貫徹したのはLUNA SEAだけ」みたいなことを言っていて、まあそうなのかなとか思いながら聞いていたけれども、確かに「コロナ禍のライヴ」らしいものは殆どLUNA SEAで体験させられたような気もする。

コロナ禍突入による相次ぐ開催延期、規制や開催条件との見合わせ、医療支援を呼びかけたリモートフェス番組の開催、合わせてリモートで緊急作成された楽曲『Make a vow』、メンバーのコロナ感染による当日延期、RYUICHIの手術と復活も潜り、観客無声の黒服限定という更なる暗黒ステージ、そしてこの度の一悶着ありながらの声出し解禁ライヴ……。本当に “コロナ禍の音楽ライヴ” というものに真正面から肉迫し続けた3年弱だったように思う。ビオレママとまでコラボしたんだぞ。


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今回もやらなかった毒を降らせるTIME IS DEAD、ビオレとの契約で止められてる説(そのような事実はない)。

 

 

 

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2日目。会場から近いからと言って何故か聖蹟桜ヶ丘でCrazy About Youキメながら時間を潰しつつ、本日の公演へ。  かすかな痛みと 信じた明日を 全て 今 君に  捧げよう

 

「昨日Rosy ShowだからRAINやったみたいなこと言ってたけど、じゃあShow for YouはWITHやってくれんのか? HAHAHA」とか言ってたのはこの頃のこと。

 

 

 

 

 

Day2 開演。

前日と同じオープニングの音が流れているが、映像はステージに向かうメンバーの映像。クライマックスでおなじみの「円陣」の様子が映り、早くも会場は歓声で沸いていた。そしてメンバーが舞台に登場し、この日の1曲目へ。

 

『LOVE SONG』。終幕とともに発表された、透明感とドラマティックなバンドサウンドを兼ね備えた大バラード。最初からシンガロンしてくれという選曲。

この曲の歌詞の本当に凄いところは、“もう空中分解寸前のバンド状態で生まれた終幕ソングなのに、そのまま「再会の歌」にも転用されうる” ところだと思う。終幕に向けた歌詞なのに、今読むとまんまREBOOTに向かう歌詞にも読めるという。まさに奇跡と必然の歌詞。

 

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そして今また「声出し再開に相応しい一曲目」として披露されたことが、この曲が背負うドラマをまた1ページ更新したようだ。

 

からの2曲目『PRECIOUS...』。最高や。昨日インディーズ時代の曲なかったなーと思ってたらここで早速やってきたし、インディーズ時代への回帰でありつつ終幕 → REBOOT〜インディーズ盤再録の流れを踏んでいるようでもある。

PRECIOUSはスタジオ音源だけでも3つある長老様だけど、数々のライヴ音源含めどれが最高とも選びきれないんですよね。常に何かが突出して何かが足りなくなるというか。まさに「LUNA SEAの最高の今」をずっと体現し続けてきた曲だからこそ(WISHもそういうとこあるよね)。

 

昨日から引き続きの『STORM』『DESIRE』を挟み、その次が『Thoughts』。A WILLの潜在人気たっかいのに全然やらなくなってた曲。帰ってきてよかったよかった。

『IN MY DREAM』、流石にしょー!!は欠かされませんでした。

 

 

その後、「初めて来た人にも、いつも来てくれるみんなにも喜んでもらえるライヴ(セトリ)を考えているから」みたいな話があり、「じゃあ、久しぶりにこの曲を……」と言って演奏されたのが

 

 


Luna Sea - With - YouTube

 

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完全にこれ。

98年、I for youのB面曲。歴代ライヴでやったの3回とかそんなんらしい。

所謂河村隆一期のマイナー曲だとあまり語られてこなかったが、この2日間で最大の暗黒ワールドを見せつけたということは是非書き記しておきたい。98~00年のB面曲ではかなり好きな曲です。inside youも回収してくれ。

 

 

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その後1日目と同じように3人編成に入り、アコースティックバージョンで贈る『THE BEYOND』。このバージョンの方が内省的で好きかもしれん。より陰のあるBREATHEみたいな。

 

そして真矢のコーナー〜Jのコーナーと続き、Jの煽りからの『TONIGHT』。個人的に「Jと言えばTONIGHT。TONIGHTに象徴される男」って印象。そして今夜は追加パートあり。

 

『宇宙の詩』『TRUE BLUE』『ROSIER』と名刺代わりのような曲が並び、この日のタイトルナンバーである『I for you』で本編終了。演奏前のMCでSymphonic Luna SeaのI for youが使われてて「Symphonicを本家が使ってるの初めて見たかもしれん」となった。

 

 

アンコール一曲目は『Make a vow。世界中のいろんな人が室内から演奏自撮りしている映像が流れていて完全に「そういやそんな企画もやってたような気がする……」状態だった。いやあ本当たった3年くらいなのに、思えば色々あって、遠くまで来たものだというか。

エンタメや音楽の停止とか言われてた中本当やたら色々やってたし色々起きてたよLUNA SEAは。この年齢のバンドとは思えない落ち着きのなさだった。

 

メンバー紹介ではSUGIZOから昨日今日と「新生LUNA SEA」「新たな門出」という言葉がありつつ。Jと真矢がビオレママで爆笑をかっさらいつつ。

そして2日間で熟された「信頼」や「未来へ」といった機運を象徴する名曲『BELIEVE』へ。筆者はBELIEVEがお好き。

 

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『WISH』。途中でRYUICHIがキレてマイク床に叩きつけて客席近くに降りていったらしいが、私は見逃してなんか降りてるなーってところしか見えなかった。勿体ない!

RYUICHI、ルナティックにシャウトしても優しい声でMCを回してもいきなりガチギレしてマイク叩きつけても全部「俺達の知っているいつものRYUICHI」なのかなり凄いと思う。

そして曲の後、そんなRYUICHIから告知の発表。次回の公演とか新作とかそういうところだろうなと思っていたらRYUICHIの口から出たのが、

 

「明日もライヴをやります。」

「場所は…………鹿鳴館。俺達の原点の場所で。」

「そこでもまた重大な発表があります。」

「それでは、本日の最後の曲行きます!」

 

こんなに動揺の声しかなかった告知は初めてだったと思う。次の曲行くって言われてもみんなどよめいてたもん。

そして始まったラストナンバーが、LOVELESS。最後に持ってきた。スクリーンの映像が『STYLE』のジャケットコラージュと最後に『MOTHER』の聖母の画だったのが、何かを暗示するように。

多幸と騒乱のなかで、終わりを全部もっていかれて幕を閉じた2日間だった。

 

 

 

 

 

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LUNA SEAはまだ一度も鹿鳴館のオーディションに合格してない(インディーズ時代は保留扱いでライヴやってた)」という持ちネタの回収もありつつ。うーんロックバンド・ストーリーここにありって感じだ。

自分は配信も観れなかったんですけど、「歳上もキッズも女も男も入ってるハコだった」っていう話でいいねーとなった。何よりずっと若い人達がこういうのに参加できているのが一番だよ。

 

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最初に『THE BEST OF LUNA SEA』と言われた時は「大体いつものセトリになるんじゃないか?」とやっぱり思っちゃったのだけれども、蓋を開ければゴリゴリの超レア曲あり、特殊アレンジあり、リズム隊のコーナーあり、この公演だからこその煌めきに満ちたLOVE SONGらがあり、文字通り「帰ってきた」感の強い合唱パートあり、そして何より涙を流して喜ぶメンバーの姿があり、そんな感傷で終わらせない 俺らを置いてけぼりにする勢いで “次” へと全力ダッシュしてしまったバンドの姿があり──。

こんな幸せなことがあるか。

もっと真面目に書いた方がいい気もするけど、「LUNA SEAが生き生きしてて俺は幸せだよ」の一言がもう全部かなという気もするので、ここらで締めます。

 

 

 

 

 

MOTHER, STYLE公演、あの名曲たちを余すことなく浴びたいというのも勿論あるんですけど、

「先へ、先へ」とずっと言い続けているLUNA SEA本体と、「この頃に帰ってほしい」と散々言われ続けた黄金期とが、(その更に先にあるはずの新活動らも含め)どう融合して昇華していくのかというのがより楽しみかなとも思います。