Tourbillon - B面楽曲の紹介

 

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なんだか知らない間にTourbillonのサブスクがシングル盤を含めて一挙配信されておりました。ちょっと前にはベスト盤と最新アルバムしか置いてなかったと思うのだが。

 


‎TourbillonをApple Musicで

 

 

 

LUNA SEARYUICHI&INORAN、そしてH.Hayamaの3人で2005,06 / 2015,16年頃に活動していたユニット、Tourbillon。彼らの作品の中でも、シングル盤オンリーだった所謂B面曲達は今となっては若干把握に難のある楽曲達でした。

前回ここでLUNA SEA『STYLE』のことなぞを書き、とりあえずエセレビューみたいなのはもういいやと思っていたのですが、その後でこれに気づいて「ビヨンのシングルB面曲なんて誰かが言わなきゃ本当に見落とされるんじゃないか」という思いもふつふつと(現にサブスク情報自体全く流れてなかったし)。

いま一度、書いておけることがあればと思います。

 

それぞれの楽曲について演奏メンバーも調べようと思ったのですが、シングル盤CDにはアーティストクレジットは載っていなかった。一応Tourbillonお馴染みのメンバーとして、Bass:TOKIE、Drums:村石雅行、Chorus:川村ゆみ、Sax:yukarie、Turntable:DJ BASS、Violin:Yui、Cello:Mariko、Viola:Reiichi Tateizumi。そしてライヴでの常連サポートギターに土屋昌巳師匠、の名前を記しておきます。豪華〜!

 

「そもそもまずTourbillonの基本的な曲を知らない」、それは普通にベスト盤かアルバム聴いてください。

 

HEAVEN

HEAVEN


‎Tourbillonの"HEAVEN"をApple Musicで

 

 

 

 

 

 

Crisis of my life

Crisis of my life

Crisis of my life


‎Tourbillonの"Crisis of my life"をApple Musicで

 

2005年作シングル『HEAVEN』収録曲。作曲表記はRYUICHI, H.Hayama。チルっぽいサウンドからたまーにRYUICHIの哭きのような高音が入る、ほぼインスト的な曲。しっとりとしたルーム用BGMに。

A面のデビュー曲『HEAVEN』は新グループ登場としてパーフェクトな曲だったが、こちらはむしろそれぞれのソロの集合体っぽい。河村隆一ソロに葉山っちやINORANがインストで楽曲提供したようにも聴こえるし、逆に楽器隊のソロ作品にもう2人がちょっと参加したようにも聴こえる。一作目ならではのような原石っぽさ。

ライヴでも生演奏で披露。音や曲の雰囲気は変われどLUNA SEA譲りな陶酔世界をじっとりと魅せていた。話は変わるがビヨンのライヴはサックスやキーボードの全面参加で曲の雰囲気がスタジオテイクとは大幅に変わっているので、今からでもいいからライヴ盤を丁寧に出していってほしい。

 

 

 

舞


‎Tourbillonの"舞"をApple Musicで

 

2005年作シングル『your place』収録曲。ピアノとヴァイオリンが主体の上品な完全インスト曲。淡々と響き続けるリズムもシックでオシャレ。

H.Hayamaがライヴのリハーサル中に突然ピアノソロを10分くらいやってくれと頼まれ、そのステージ用に作ったとか。意外と彼のソロ公演も含め披露回数が多いらしい。

今聴くとところどころオープンワールドRPGのBGMみたいだなとか思う。美しくて幻想譚話みのある良きインストナンバー。

 

 

 

FIORENTINA

FIORENTINA

FIORENTINA


‎Tourbillonの"FIORENTINA"をApple Musicで

 

2005年作シングル『もう一度君に』収録曲。詞・曲RYUICHI

ピロピロピロと花びらのように下降していくシンセと小刻みなビート、サビのポジティブな音色のギター、そして隆一らしいポップで甘いメロディが特徴的。いかにも明るくて暖かい曲なので『HEAVEN』のようなトーンからは外れるのだろうが、ビヨンらしいちょっとオシャレで芳醇な雰囲気は健在だ。

RYUICHIの甘声は毎度のことながらクセが強いが、筆者自身はこの時期の高い歌声もかなり好きだったりする。歌詞はA面曲『もう一度君に』と並んで “再会への念” がテーマになっているようで、ロマンチックな中にも刹那感を覚える。

 

花の都にある小さな教会に

名も知らぬあなたは今日もいるのでしょうか

痛みはなく まばたき程の時間で

私の何かを変えてしまいました

ねぇ あの街に花が舞う季節に

もう一度あなたに逢いに行きましょう

 

なんとなく「『HURRY GO ROUND』と一緒に聴きたい」とか書いておこう。春だし。

ボーカルトラックを外したinst ver.もかなり「普通に聴けるインスト曲」なので、そちらも一聴あれば。

 

FIORENTINA (instrumental)

FIORENTINA (instrumental)


‎Tourbillonの"FIORENTINA (instrumental)"をApple Musicで

 

 

 

I know nothing

I know nothing

I know nothing


‎Tourbillonの"I know nothing"をApple Musicで

 

2006年作シングル『アゲハ / selfish』収録曲。LUNA SEAを彷彿とさせるダークかつカオスで攻撃的な楽曲。まさかのRYUICHI作詞作曲であった。「この曲が忘却されないためにこのページを書いた」と言っても過言ではないと思う。

ノイズとガリガリしたベースの導入からいきなり破壊的なドラミングが制圧し、ブレイクを挟んで「LUNA SEARYUICHI」を思わせる低音で魔的なボーカルが入る。しかしそのまま歌が主導していくのではなく、サビを用意せずにAメロとギターソロを何度も繰り返すように進んでいくインディー感のある一曲。むしろAメロはボーカルが、サビメロはギターが担っているとも言えるような。

短い歌詞は「覚醒」をテーマにしたものだろうか(『Metamorphosis』の際にSUGIZOが「RYUICHIの大得意なテーマ」みたいに言ってたなあ)。

かつてのLUNA SEAのアティテュードをTourbillonに注入したような、超ムリヤリ例えるなら「『1999』を00年期モデルに改造して更にREBOOT直後に再録した」みたいな一曲。RYUの歌声がまさにビヨンと再録盤『LUNA SEA』を繋ぐようでもある。

インパクトの強さに反して盛り上がりきらせずに飛んでいってしまうのがちょっと名残惜しい。

 

 

season

season

season


‎Tourbillonの"season"をApple Musicで

 

同じく『アゲハ / selfish』収録。アコースティックでアンニュイな雰囲気の、いかにもINORANだなあという曲。なるほどINOソロの『千年花』に気持ち似ているかな(『season』が06年、『千年花』が08年)。

INORANのアンニュイで優しい曲 + RYUICHIの高音ボーカル」ということで、好きな人はバッチリ好きだろうみたいな色合いがある。“『BREATHE』の後日談” みたいなイメージで聴くと結構マッチするような。

 

今まで 何をしていたんだろう

溜め息は 大地へと帰っていく

交わらない 曲がる事のない 言葉があるだろうか?

理想はそう 記号にできない  あなたはきっと 知っていた

めぐりゆく季節の中で  あの空はいつも泣いてた

完成していないこの絵の続きを知る様に

 

めぐりゆく季節の中で  あの空は傷ついていた

完成していないこの絵の続きを描けたら

秋とある 青空の様に 冬に咲く カメリアの様に

残された未来は決して悲しみだけじゃない  どんな日も

春を待つ 二人の様に  夏出る 太陽の様に

ただそれだけを信じたい  どんな日も

 

結構ロマンチックな歌詞書くよねINO。

休止前ビヨンの歌詞は大体「人生の取捨選択」「未だ歩き続けること」みたいなのが根底に宿っていると思う。相変わらず彼らの歌詞は正直だった。

 

そんなこんなでシングル『アゲハ / selfish』は、そのものズバリ終末世界の叙情的メインテーマのような『アゲハ』、gravityみたいな内省世界を聴かせる『selfish』、ダークに襲い来る『I know nothing』、空白感がありながらも優しい『season』と4曲も収録されていて、先行シングルでありながらちょっとしたミニアルバムのような豊かさ贅沢さがあったのである。

 

 

 

Break the Chain  I.Mix

 

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まずA面の『Break the Chain』は2008年に仮面ライダーの主題歌としてエイベックスからどうしてもとお願いされ、結果編曲にしかクレジット参加してないし全然プロモーションとかしてないのにビヨン最大の売り上げと認知度になっちゃった曲大手タイアップ恐ろしや。なお、その後Tourbillonの作品やライヴ、また公式discographyからは完全に存在をスルーされているという。

この後も活動を継続していたらまたいろんなことが変わっていたのかもしれないが、結果としてこれ(厳密にはもう2年前の2ndアルバム頃)を残してビヨンは動かなくなった。その2ndアルバムから本シングルの間に、かのLUNA SEA一夜の復活ライヴ「One Night Dejavu」が敢行されている。

 

Break the Chain(INORAN mixed ver.)

Break the Chain(INORAN mixed ver.)


‎Tourbillonの"Break the Chain(INORAN mixed ver.)"をApple Musicで

 

そんな『Break the Chain』をベースにしたINORANによるインストトラック。シリアスで心象的な香りで、まさに00年代前半のINOソロっぽい。『Bay』とそのまま繋げてしまえそうな。

BGMっぽくも聴こえるが劇中で使われたりとかしたのだろうか。

 

 

Break the Chain  H.Mix

Break the Chain(H.Hayama mixd.ver.)

Break the Chain(H.Hayama mixd.ver.)


‎Tourbillonの"Break the Chain(H.Hayama mixd.ver.)"をApple Musicで

 

こちらはH.Hayamaリミックス。ピアノと反響する音達、後半にかけて主張してくるリズムがドラマチック。リミックスらしく淡々としつつも展開のある流れをみせる。結構好きなトラックなので、この曲が出ただけでも雑なタイアップを受けた甲斐はあったんじゃないのか (笑)。

 

 

 

Colorless Images  (BATTRIDE WAR MIX)


Colorless Images (BATTRIDE WAR MIX) - YouTube

 

時は飛んで2016年、再始動期のシングルはまたまた仮面ライダーのゲーム主題歌。こちらはちゃんと詞・曲ともにH.Hayamaが手掛けており、ライヴでも披露されている。一応A面曲なのだが、MIX表記のない無印ver.しかアルバム入りしていないし折角なので……。と言っても無印と「BATTRIDE WAR MIX」の違いは冒頭のSEが入っているかどうかだけかな。

良くも悪くもまんま『A WILL』に入ってそうな、ストレートにも彼ららしいバンドロックチューン。同時期の復帰アルバム『Life is beautiful』もかつてよりシンプルで生音ぽくはなっていたが、ここまでガチガチにハードロックな曲はこの曲だけ。やはりタイアップに寄せてか。ビヨンとしてはかなり浮いてるけどシンプルに良い曲。

ストレートな曲だからこそ、やっぱり曲の色づけを決定するのはボーカルの声なんだなあと改めて実感させられたり。「シーンに対して絶対に埋没しない歌声の個性」というか、やはりボーカルの声色や熱性は他所と被っちゃダメなんだな、と。

 

LUNA SEAとの相違ということで余談になるけど、『Hold You Down』がビヨンっぽいって言われてたのは一度もしっくりきたことがない。ビヨンはビヨンでああいう曲ってないし(アルバムの蓋を開けたら「piece of ~」の方がよっぽどビヨンっぽかったというオチもありつつ)。

 

 

Colorless Images  (NO WAR MIX)

Colorless Images(NO WAR MIX)

Colorless Images(NO WAR MIX)


‎Tourbillonの"Colorless Images(NO WAR MIX)"をApple Musicで

 

インストリミックス。イントロから盛り上がりまで一貫して「滾らせる」という言葉が相応しい、内から湧き上がる熱のようなトラック。いかにも格ゲーのセレクト画面みたいな (笑)。トータルとしてまとまりつつも結構いろんな音が顔を出してくる印象。

活動停止前から再開期へのビヨンのカラーの変化を一言で言えば “どこか肌寒い空気感” から “熱や温もり” に主張が変わったかなと、このトラックを聴いていて思わされたり。

 

 

 

おまけ

 

HEAVEN  (instrumental)

HEAVEN (Instrumental)

HEAVEN (Instrumental)


‎Tourbillonの"HEAVEN (Instrumental)"をApple Musicで

 

ビヨンを代表するデビュー曲のVocaless ver.。こちらもかなり普通に聴けるインストになっているのでご一聴あれば。

やっぱりベースのセクシーさがこの曲は肝なんだな(Jの影響も思わせられるが面子を考えれば当たり前も当たり前であった)。この曲のベースはTOKIEさんではなく沖山優司さんという方がレコーディング参加されている。

 

 

 

 

RYUICHIが喉の手術に挑んでから早一年。その後経過はどうなっているのかなとインスタなどで歌っているのをちょくちょく追っているのですが、結構シックでジャジーな曲が今の声にはハマっているのかなとも思い。

そういうのを河村隆一ソロでやっていくのか、はたまたLUNA SEAがそこに寄せていくのかは分からないですが、私なんかは「ビヨンなんかまさにピッタリじゃん」などとも思っていたのでした。

 

 

I'll say I love you again. With love.