今もっぱら注目のアプリゲームと言えば? みんな馬のお世話をしているね。そう、『シャイニングニキ』。
このシャイニングニキは凄い。前身にあたる『ミラクルニキ』は私はプレイしていないのだが(シリーズへの理解のために始めようかと思い始めている)、ジャンルは『着せ替えコーデRPG』。……着せ替えコーデRPG?
まず着せ替えの3Dゲームなのでモデリングはぶっちぎりで綺麗。しかもカスタマイズ性がハンパない。
既に衣装セットでも20種くらいはありそうな衣装をパーツ単位で、ニキという明確なヒロインを通してコーデできるし、ニキをほぼ意識しなくてもキャラメイクじみた範疇で自由にコーデできる。
もうちょっとで幽谷霧子作れそう
で、RPGなので戦う。なんかいいコーデをすればコーデポイントがついてそれで勝負しているというもの(ミラクルニキも同ジャンル名だがどこまでシャイニキと同じかは不知)。何で戦ってんの? というところは後述するとして、このコーデバトルの内容自体も中々にキている。
まずバトル画面はと言うと、ファッションショーばりに3Dのニキが延々映される。誰と戦ってても、何と戦っているのか分からなくても。
FF2で言ったらザコ戦でもラミアクィーン戦でも皇帝との決戦でもずっとフリオニールだけ映してるようなもんである。
これには皇帝も苦笑い。ニキのモデリングとバリエーションへの自信がないと成り立たねえよ。
操作はまあタイミングよくベストなボタン押して高得点を狙うだけだ。
なのでひたすら高得点を目指していくつくりなのだが、それに向けた育成がやたら多岐に渡る。レベルや親愛度やカード育成は勿論のこと、アナザーシナリオだのメイクテストだの何だの。
やることの多いソシャゲはめんどくなって触らなくなるものだが、メインシナリオ攻略くらいならそんなやらなくてもいいし、ちょっと不安ならその場でお供のモモが必要な育成ページに目安値込みで案内してくれるという親切設計。
これ地味だけど結構アプリゲーの育成問題の痒いところに対応してくれてるよな。これによって進行についてはモモの助言に沿っていけばいいし、他に何をやればいいかなという時選択肢が単一化されず自分で選べるというもの。
何より着せ替えコーデバトルという「なんかよく分からんが他所と競合する気はまるでないぞ」という独創性が一番おいしい。先のWOFFの影響で今一度「いつものシステムですよw」的なゲームの在り方に踵を返さんとしている私にとってそこは大きい。ここにしかない景色や魅力がある。
勿論ニキ以外のキャラクターもたくさん登場する。結構バックストーリーが明かされてないなりに練られてる印象を受けるのと、(自分には)珍しくキャラクターの描写に少女漫画的な香りが強くて新鮮なので、今後どんどん活躍の場を広げていってほしい。
『ニキの家』では家でゴロゴロしてるニキを眺めたり会話イベントがあったりする
(一応最初の選択肢でプレイヤー=ニキの友達の性別が選べて、メインシナリオは概ね女性のていで進むがニキの家はぼちぼち性別設定が反映されてるっぽい)。
そして『In Time』という作中ツイッターのような要素。やたらはっちゃけてたりSNSのウザいところを再現したりしてくる。
(ニキちゃんちょくちょく絵投稿してるけどどれも微妙にメンヘラっぽい…いや私の穿った見方か…いや……) ニキ以外のキャラクター陣もここで大いに好き勝手している。
さて、ではシナリオの話へ。
天然物のノムリッシュかよ。かいつまんで言うとミラクルニキでもニキが過ごしてる異世界・マーベル大陸が滅亡するので(ミラクルニキのストーリーもそんなノリらしい)、その運命を変えるためにニキが遥か過去に飛ばされどうにか奮闘する話。どう奮闘するんだって? コーデバトルだよ。
……とりあえず「遊戯王のソレ」と言っておけばご理解いただけるだろうか。コーデはあらゆるものを動かせるし、コーデで世界の命運が決まる。まあ、極端なシナリオまわしにこそ注目が集まるが基本は冒険もの少女アニメ+遊戯王的ノリと思っていただければ。なるほどホビー作品志向として捉えてみるとそうなるかな。なるか? 世界の破滅も人の残酷さも色濃く、しかしそんなトーンを塗り替える閃光のように駆けていく空気はまさに遊戯王5D's。精神が遊戯王5D'sなのでリアルファイトも結構ある。満足するしかねえ。
そして5D'sが決して悪ノリ一極ではなくシナリオのテーマや骨子もしっかりした作品であったように、このシャイニングニキもまたそうだったりする。
メインシナリオの第2章を少しだけ
このゲームの物語は一貫して「美しさとは何か」というテーマで回っている。ある面では人にとって絶対不可欠で、ある面ではショウ的・娯楽的で……確実な “力” であり、しかし認められなければ “無力” でもあるような。その「美しさ」。
そして表のシナリオ一辺倒ではなく(上げたものもほんの触りだが)、緻密に織り上げられたバックストーリーも描かれている。まあ、「過激なネタの弄び」と「ガチの闇のオタクが作ったやつ」の嗅ぎ別けくらいは私にもある程度はつくつもりなので。
シャイニキの物語性はきっと心に射すものになるだろうし、今後どうそのテーマを掘り下げていくのか大いに期待したい。
美がテーマというとき、この作品には間違いなく根幹に「美と相対するのは腐りゆく定め=死である」というようなテーゼがあり、それとの対峙も描かれようとしている。
美は間違いなく力だ。時に殴るような威力で人の心を制圧する。ワンピースのヤブ医者のように「美しいものを見て病が治った」なんて事例が現実にどれだけあるのかは知らないが、確実に人に「生きよう」と思わせる力はあるものだと思う。
「美しいものに降れたい、なりたい」という衝動と、「生きる楽しさ」みたいなのを見つけた時の感情って、ほぼ同一か極近しいものなんじゃないかなあって。まあいいや。
うーん美術というか、「美とはそもそも何か」みたいなのを勉強したくなったな。
それでは、長くなったけど一曲だけ美しい曲を
Plastic Treeで、『みらいいろ』
遊戯王5D's みらいいろ 歌詞つき.wmv - YouTube
奇しくも「崩壊の未来を変えるために過去に来た話」か……
消滅はキラキラと輝く……超新星……光まみれになる……
「思いついてくコーデで 暗闇だって塗りかえながら」
未だ始まったばかりのアプリゲームにあまり過度の期待を傾けるものではないのかもしれないが、このゲームの一つ一つのスタンスにひとまず強い信頼を置きたい。
魅せてほしいシャイニングニキ……満足させてくれよ