サガフロンティアというワンダーアンダーグラウンドなゲーム

 

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ミンサガリマスター発表〜ロマサガ3リマスタープレイ──の流れから最近はずっとサガフロリマスターをやってます。

「ま、サガの中では真ん中くらいだな」とか生意気なこと思ってたけど、やっぱり面白いね。

雑多な世界観にスピーディーな展開と育成、突然の閃きと連携、それを駆使させる容赦ない敵やギミックの数々、成長システムからまったく違う『人間』と『モンスター』と『メカ』と『妖魔』の4種族、用はないけど宝とトラップはあるダンジョンたち、演出過多を拒みつつも色彩豊かなキャラクタードラマ──。

 

 

昨年リマスターが発売された時のファミ通コラムに良いこと書いてありました。

 

 ゲームを多くプレイすればするほど、たとえ初見のゲームであっても新鮮さを感じられないことがある。それは、豊富なゲーム経験からくる“既視感”が原因だと思うが、『サガ』シリーズは独特なシステムが多く、既存のRPGの知識を利用できないことも多い。

 とくにシリーズ初見のプレイヤーだと顕著で、おそらく霧の中を歩いているような感覚を覚えるはず。どこに行けばいいのか、何をすればいいのかわからず、「なんだこのゲーム」とストレスを感じることもあるだろう。

 その状態から、「もしかして……」と世界やシステムに対しての理解がだんだんと深まっていく、「そうだったのか!」という発見、霧が晴れていく感覚も『サガ』シリーズ、そして『サガフロ』の魅力だと思う。最初のころは超高難度に思えていたゲームが、システムを理解できればものすごく簡単だったことがわかる感覚、やめられない。

 

全部言ってくれた感ある。一つ加えるならシステムを理解したところで怒涛のランダム要素や複雑な条件仕様でまあまあ予定どおりには進まないゲームシリーズだということか。

 

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ま、サガの楽しさはやってもらわないとわかんないよ、最高に「ゲーム」だから、とか思いつつ──

 

 


最終兵器 - YouTube

 

 

話すことがあるとすれば、そのアイデアの豊富さ。

7組以上にも及ぶ多彩なシナリオ・主人公・ラスボスたちは言うに及ばず。一言で言えば「魔術師とガンアクションレディと麗しの妖魔と特撮ヒーローと無骨なメカが混在して九龍城とか古代船遺跡とかハイテクバーチャル世界とかシュルレアリスム空間とかを駆け回るゲーム」なのも、その一つ一つがアイデアの宝庫だろう。先に述べた種族ごとに全然違う成長システムなのも、ある意味ゲーム4本くらい同時にやっているようなものだ(そこを言えばGBサガの時点でとんでもなかったんだな)。連携や閃きのシステムも言わずもがな。

 

 

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例えばヒーローの「お決まり」を反映させたゲームシステム。ヒーローのレッドは人前で変身することはできないので、メカ以外の仲間が不在か戦闘不能暗闇状態じゃないとアルカイザーに変身できないのだ。

例えばシナリオ上もヒロインとして活躍していた女が最終局面で裏切って(操られて)ラスボスになる展開。そのシナリオの案を出したスタッフは、別の作品で「大体女性キャラはちょっと弱くてもみんな使いたがるから女性キャラを強く設定する必要はない」という旨のことも言っていたので、見事にプレイヤーをハメたアイデアだろう。鬼か(そのラスボスがまた強えーんだ)。針山のところはサウスマウンドトップよりよっぽどトラウマなんだぜ……。

例えば赤カブ。どういうことなの……。多分夢女子的フレーバーに対する河津的処置だったんだろうな……。

あとはまあ、連携技を強要してきて謎の打ち上げ花火を上げまくる櫻井敦司みたいな人とか。他にも他にも。

 

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小林先生のBUCK-TICK談義はこちら

http://www.kobayashi-tomomi.com/bonnou2.shtml

 

これでもかと煌めき押し寄せるゲームアイデアの渦。

昨今は「まともなRPGを作ろうと思ったら5年以上はかかる」というのが相場のようになっているが、サガフロは2年前後と言われる制作期間でこの多彩さを放っていた。いや、込められたアイデアの量では昨今のゲームの方が勝っているのかもしれないが、上に述べていったようにゲームとしての立て方がギラついているのだ。

一つ前の作品になるが、ロマサガ3の初期案では「RPGにバトルは必須なのか?」という観点から、全くバトルに触れずとも別のゲームプレイでエンディングまで行き着く遊び方も考案されていたという(トレードやマスコンバットがその名残)。当然、その観点は「シナリオに集中してほしいからバトル面は薄くていいよね」というようなものとは似てるようで真逆だ。ゲームに対するビジョンの在り方を感じさせる逸話である。

革新的(かつムチャクチャ)でありながらも骨太なゲーム原則が貫かれている河津神のテイストがそこにある。

 

 

 


『サガ フロンティア リマスター』第8の男 - YouTube

 

リマスター版の恩恵というところで言うと、倍速機能はもちろん、クリアごとにキャラステータス等の引継ぎ要素もついたので(自分は金とアイテムだけにしたけど)、更にサックサクと進行できるようになった。原作はオールクリアまでに70時間超と同時期のRPGの2倍くらいかかる代物だったが、35時間くらいで開発2部に着いたのでそのスピーディさは相当だろう。

また次の目的地への案内画面も追加されたので、アセルス編の「1回以上戦闘をして一定のマップを通過すれば突然ボス戦が始まってシナリオが進行する」という、フリーシナリオを駆使した怪仕様も分かりやすくなった(というか仕様そのままゲーム内に表示された。ウケる)。

 

そして、何より新たに追加された「ヒューズ編」という名の「各主人公ifルート編」。結局2倍になった。いやこれ凄いことだよ。リマスターの範疇に期待される規模じゃないよ。

凄いのはそれだけの追加要素に留まらず、2倍にも及ぶ周回仕様に耐えうるゲームデザインを元々有していたということ、そして周回引継ぎしまくったユーザーに対するご褒美のくそ強裏ボスを用意してきたという飽くなきサガクオリティだろう。

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自分は原作組から終わらせて今日ヒューズ編の1つ目をクリアしたところなので、その全貌は自分の目で確かめたい。


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ここから下は原作組7編のプレイ日記のようなものでも。ネタバレありありハイドビハインド。

 

 

 


みちみたりて (Ending -Emilia-) - YouTube


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エミリア 上のシーンは世界観の行間を垣間見させる隠れ名セリフ

 

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エンディングが2種類ありかなり途中のところで分岐するので有名な方だけ見ればええやろと進めていたが、記憶より辛く悲劇的なエンディング。

婚約者を殺した宿敵を追い、その宿敵の正体が彼自身であろうと撃ち、あまつさえ出会った仲間たちからは「俺達のことは忘れて生きろ」と別れを告げられる。現代日本ならメンタルケア不足で大問題になりそうだ。どうかその後はアセルス組と合流して元気に生きててほしい。

と、片方のエンディングを見たのだが、もしかしてこれって石井さん(聖剣シリーズのディレクターでエミリア編の原案者)のセンスが出た「石井エンド」なのではないだろうか。普通によかったよかったで終わる方が河津エンド(あまりに悲劇的だったが故の神の救済措置とも言える)。うーんなんかそういうことな気がしてきた。だったら河津エンド(仮定)で進んでもよかったな。

 

 

 


Battle #1 - YouTube


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レッド編

一番長いシナリオという記憶だったが休日1日中で終わってしまった。レッド編は特に鍛える必要ないしなー。それよりヒーロー技をまったく閃かなかったので真アル・フェニックスどころじゃなかったのはどういう……。レッド編で一番好きなのはラストの新番組予告です。

どうにも特撮にハマる機会ってないんだよな。特撮(ロックバンド)しか縁がない。

 

 

 


まよい - YouTube

 

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アセルス編

人気たけーしベタかなあとも思いつつも、リマスター画の恩恵を最大に浴びた耽美グラフィック、多数の追加シナリオ、策士ラスタバン、赤カブ育成、オルロワージュの思惑に各種ED周回と結構盛り上がってしまった。

 

追加イベントで生科研の地竜と戦わされるの辛くないすか? ヒィヒィ言いながら倒したけど。原作では全然倒せなかったな(一番奥まで潜らないといけないし)。最大の名曲『ALONE』は上げるタイミングがなかったから自分で聴いてほしい。

 

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赤カブはちゃんとスタメンにして側近にする派。今回はデュラハンまで仕上げれなかったけど。凝視ぽんぽん手に入ると思ってたんだけどなー。

 


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とりわけのお気に入りキャラ、ファシナトゥールの上級妖魔ラスタバン。

ラスボス・オルロワージュの側近でありつつアセルスにも好意的で協力的なスタンスを見せる男。そのまま進んでいくと最後まで力になり道を開いてくれる。だがダンジョンの仕掛けを解くと、実は彼こそが騒動の主犯、アセルスとセアトをそそのかしジーナを誘拐しファシナトゥールへの革命を画策している黒幕だったことが判明する。そして真相を知ったアセルスに協力を拒否されると、彼は諦めも早々すぐさまその場で対峙してくるのだ。自分の身可愛さともなにか違う、ファシナトゥール革命というたった一人の野望のために。


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私は初めてアセルス編を回っていた時、この彼のさっぱりした変わりよう、割り切りっぷりにショックを受けた。その態度からは追い詰められた小ボスの悪あがきとは違う、むしろ毅然とした政治家の切り捨てを突きつけられたような衝撃だったのだ。それも「組織や体制」ではなく、完全ないち個人の「人格」として。何より「指摘されなければ全然味方サイドにいる」というアポロンらとは一味違うスタンスこそが奇妙に光る。

シナリオルートの違いで一気に立体性が増すキャラ像含め、あらゆる面で一番「サガらしい」キャラクターは彼だろう。

 

 

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オルロワさんのこの台詞、以前はRPG的悪役口上くらいに思ってたけど、今思うと『胎児』の「人を傷つけ生きてくんだ」みたいなものかなあと。人を攫って寵姫とし、何人かに去られても姫を囲い続ける彼の心内と、仮にも血を分けたアセルスに対する思情を思わせる。黒幕がラスタバンなのもあってラスボスである彼は何かと消極的な印象だ。

 

 

なんとなく髪切ったヴァジュイール様置いとくね。


BUCK TICK — ROMANCE (Legendado PT-BR) - YouTube

シナリオの節々(妖魔END含む)でこの曲そのまま流れてそう。

 

 

 


Last Battle -T260G- - YouTube

 

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T260G編

ロボットと少年の日の想い出。元々好きだったけど結構涙腺にきてヤバかった。昔っから「子どもとロボットの話」系は意外と好きだよな、と思う。言うわりにロボットアニメも特撮も見ないけど。


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このマップの感覚って今でも伝わるのか?

 

高度な選択処理能力をもった機械は、きっと「意思」──「心」を持ち育んでいると言えるんじゃないかと思う。翻って人間の「意思」なるものが所詮どれほどのもんだよという風にも。ロボットと子どもが交信する物語に自分は多分そういったものを感じるのだろう。理論的にどうなのかは知らん。

 

 

 


闘機場 - YouTube


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開始10分でラスダンに突入できることでおなじみリュート

今回は最初にリュート編から回った。うーん純粋な冒険だけがそこにあるって感じ(多分やっぱり初プレイ向きではないと思う)。

原作的にはゲンさんがヒューズよりよっぽどもう一人の主人公してるんだよな。スクラップ組は全員愛着がある。

後々になるがブルー編でもリュートをパートナーにして連れ回したのは、ほぼ完全フリーシナリオ同士の縁か、だからこそその割に使命と無情に振り回されている彼にはリュートのような存在が必要だと思ったのか、単に小林絵の影響か。

 

 

 


マジックキングダム - YouTube


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ブルー編

仕様的には一番初回プレイ向きだが、ストーリーが最大に初回プレイ向きではない。

生命科学研究所、クーン編ラストバトル、ブルー編……。サガフロの世界は楽園幻想への否定と惨劇に満ちている。当時の人類補完計画ブームに対する河津からの回答かな。神の子が殺し合う愛の園。

あの衝撃のENDは自分は「敵を弱らせてもう一度封印しなくては(倒して帰ってこいとは言ってない)」という解釈。


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『(人間が人工の天国を創ろうとした結果誕生した、天国の様相をした)地獄』、

ブルー編の原案者とは絶対に趣味が近い。ブルー編の人々の業に圧殺されるような物語が一番好きだ。

 

改めて思ったのは、次回作サガフロ2の主人公ギュスターヴと対照的だなあということ。王国の教育のままに育てられ、命じられるがままいくつもの命を殺し、そして王国が崩壊した時にようやく自分と王国の誤りに気づくんだけど、それはもうまるで手遅れで……という。ヒューズ編ブルールートではifとして帰還したブルーを見ることが出来るとのことなので、彼の姿に期待したい。

あと、本編を改めて見るとソシャゲ時空で人生を満喫しているブルーの姿に感慨深いものがあるなっていう (笑)。初めて見たときは違和感しかなかったものの。

 

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ラスボス、以前プレイした時はかなり苦労した覚えがあったけど、今回はオーヴァドライヴも塔もつけ忘れたまま倒しきった。という割に七支刀は「こんな痛かったっけ!?」って慌てたが……。

 

 

 


旅の幕あけ - YouTube


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クーン編

スターリングはやっぱり強かった。

指輪を巡りいろんな世界を駆け回るクーン編。最もファンタジーらしくかつそれぞれの世界がよく掴めるが、難易度的には一番初プレイ向きじゃない。サガフロはそんなんばっかや……

(設定上)地獄とRB3の落とし前である指輪編の完結、蘇らない故郷の楽園幻想、毎度お世話になるスクラップ組のシメ、ヴァジュイール様的な意味で、ということでクーン編が最後の紹介がいいかなあと。

思えばひたすらに冒険を飛びまわる楽しさと、その裏にある過酷さで出来ていたクーン編だったと思う。流石キョン原案。

 

ラストバトルの曲もクーン編がお気に入り。楽園のようなゲーム背景と心ないシナリオ展開とラスボスの強さを一つに結びつけるような絶望シンフォニー。中盤はイトケンらしくノリの良いところを見せてるのも良い。

 

 

ということでラスボスが直前に離脱するヒロインのメイレン、公式をして「裏切り」と称される彼女なんですけども。しかし厳密には指輪に操られていただけなんだということは、彼女の名誉と、何よりあのめくるめく冒険の名誉のために強調しておきたいものです。

 

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【PV】 BUCK TICK Alice in Wonder Underground - YouTube

 

今井さんなら針山の上で道案内してるよ。

「ワンダーアンダーグラウンド」、なんだかサガフロにぴったりなフレーズだ。エミリアと地獄とマーグメルに羽を畳んだ皆殺しの天使。

 

 

 

 

 

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もうちょっとだけ続くんじゃ(ヒューズ編が)