先日はヴァイオリニストAyasaさんのソロライヴに参加しに白銀高輪SELENEまで行きました。
http://www.ayasa-violin.com/#id9
ちょっと前にTwitterで路上ライヴで演奏されてる姿が流れてきて、スタイリッシュなハイテンポサウンドに全身を大きく揺らしながらヴァイオリンを弾いてる姿に魅了され、この度是非是非とライヴに。
ライヴが開始するとAyasaさんが一人ステージに登場し最新アルバム曲ラッシュを。ヴァイオリン以外は完全に音源をそのまま流してたので「あれ?そういうステージなんだ」と思ってたらメドレーからそのまま『唐繰坂殺人事件』に流れ込むなりバッグバンド登場!という流れ。
これ、狙ったのかはともかく完全に騙されました(笑)。アニメや所謂オタクカルチャーとも正統なメジャーロックバンドとも両方と繋がってる方なので、「え?どっち?こっち?」ってなってたらバァーンとバンドサウンド + ヴァイオリンのステージが本格開演してきたんですね。おぉーってなった(笑) (第一部のときなんか妙なタイミングで前方の客が沸いたのはバッグメンバー入りの歓声だったことに第二部目で気づいた)
印象的だったのは、MCのときずっと手はヴァイオリンの指板辺りを拭き続けていた姿。「拭きながらですいません笑。今日湿気凄いね」とか言いながら(台風が近くを通過してたしね)。500人弱で埋まるくらいの会場に、一本のヴァイオリンを時間を見つけては自分の手で何度も何度も丁寧に拭く姿。激しく動いた後でやや息を切らしながらのMCを乗せて。そしてまた優雅な音と姿を鳴らす次の演奏へ。
うん、すごい手作り感。
演出もスクリーンとあとはせいぜいライトがチカチカ光ってるくらいだし(ライヴセットなんてそれで十分、十二分とも言える)。そこだけでも「良いもの見てるなー。このタイミングでしか見れない姿なんだろうなー」って感じがして。貴重なワンシーンに立ち合ったような(のかどうかは、まだ分からぬ話)。
そして今回最も来て良かったと思わせてくれたのが、ライヴ中盤。
MCのおおよそが会場を盛り上げるための砕けたトークを占める中で、すっと、
「きっと、この中にも、悩みとか不安ごととか抱えてる人が、たくさんいらっしゃると思います。そんな人たちに、前向きな気持ちになれるように、何か届けられたら、という思いを込めて次の曲をやります。
『SWAN SONG』」
(上の言葉は記憶を元に)
Ayasaの曲を最初に聴いてみたその日に「いいな」と思ったバラードソング。その曲の、こういう言葉を添えての演奏。
ともすれば、言ってることは当たり前のことで、人前に立つ演者なら大概の方が多かれ少なかれ心に刻んでるような言葉で、いちいち言わんでもいいという人もいるかもしれない。
でも、いちいち言われないと忘れてしまいそう、私達が忘れようとしているようなことかもしれない。
それにそうして届けられた『SWAN SONG』には言葉はないからね。インストゥルメンタルだもん。歌詞の一文字もない。
歌の歌詞とか何度も噛みしめるところが私にもあると思うし、ともすれば言葉にすがりすぎかなと思ったりもする。でもこの日演奏されたSWAN SONGや一曲一曲には一つの歌詞もない。“白鳥の歌” と題されたこの曲から一体何を受け取ったのかは結局のところ人それぞれ。ただ、この曲を演奏している時のAyasaさんの顔の周りだけ空気が凍てついてるかのような真剣な表情は、よく憶えてる。
この曲の後はラスト〜アンコールまでずっとノれる曲が続いて白熱と喝采の中でステージは幕閉じ。そういうステージの中での一瞬でした。
基本、私が今まで参加したライヴって出演者のキャリアも長くてこちらも長く愛好してるバンドとかなので、ステージはその時その時の集大成でその後に先を見るものだった。
でも、この日の500人規模のステージは私は先月知ったくらいでの初参加、Ayasaもまだまだこれからというところ。お互いに序章のようなもの。初参加の私と、演奏の合間に楽器を自分でせっせと拭いている推しがいるステージ。
こんな始まりや未来をひたすら指差すように楽しんだライヴは初めてだったかな。よかった。
いつかドームのような空間で、バンドサウンドとヴァイオリンの音が反響するような響きを、聴いてみたいなあ。