両日行ったものの急な私事やなんやでメモにしてなかったPARADE横浜。
もうそのままでいいかとも思ったけど、やっぱり少しだけ。
今回のセトリでやはり絶対的な核をなしていたのが、両日ともに繰り広げた『相変わらずの「アレ」〜』〜『楽園』〜『REVOLVER』〜『ゲルニカの夜』〜『さよならシェルター』の流れの部分だろう。そこにはBUCK-TICKから今の時代──戦争や不穏な時勢に対する声が籠っていて、「35年目のBUCK-TICKはこれなんです」と唱えきるかのようだった。
それに対して自分から足りる言葉が出なかったから、何も書けなかったというのも多分そのとおりだと思う。
……まあ一言で言えば「一生BUCK-TICKについていくわと思ったセトリ」なんだけど。『REBELO』という一大コンセプトを提示したバンドとしてあまりに “生真面目” だったし、格好良かったなという。200%の格好よさと真摯さでこのテーマを描ききっていたことが本公演に対する自分の最も大きな振り返り。
めちゃくちゃ個人的な話だが、私は「この人の思想は嫌いだけど作品は好きだね」という楽しみ方が全然できない。こんな時代だしある程度目を瞑れるとは思うけど、「人間的に好きじゃない」と思ったら作品はいいぜ!って言われても聴けない。まあ人様を量る前に私自身がカスみたいな人間だし、何が正しいかなんて人それぞれだし、別に彼らだって何も聖人君子ではないのだが(悪の華、だし)。ともあれ聴き方としては極めて損をしている。
損をしているが、その代わり作者が普段以上の真剣さで提示したものに対しては真剣に向き合いたいと思う。そして私はこれからもBUCK-TICKを聴いて生きていくだろうなというのがこの公演への一番の感想だった。
ま、そんなアレコレ気にしなくても楽園は幽玄だったし、REVOLVERはパワフルだったし、さよならシェルターは美しかったし、ゲルニカはまさに圧倒的気迫だったし、相変わらずのアレは最高通り越してNine 最 is 高だったんだけど。前提として曲の凄さが期待より上のところで確証されているとこもあってBUCK-TICKの偉大さだから。
『さよならシェルター』、本当に本当に名曲。星野曲でなら既に歴代トップ3に入るよというくらい好き。異国の悲しくも優しい軽やかさに乗せて、この現実を奏で描く。
というか『No.0』もそうだけど、三十数年目にしてどんな若い頃にも負けないどころか凌駕していく作品をぽんと出せちゃうのあまりに凄すぎる。
あと『忘却』がベストテイクだったなーって。コロナ禍で生まれた作品でその分披露回数も限られてきた一曲だけど、その中での蓄積と横浜アリーナの音響をもってついに熟しきった印象。
1日目ラストは『Solaris』。相変わらず〜と並ぶ、数年前までもう一生聴けないんだろうと思ってたら急に常連になった名曲 (笑)。No.0ツアーから引き続きあのアルバム曲達とワンセットで存在しているかな扱いなので、メンバーの中ではそういう位置づけの一曲なのかなと思う。元々大好きな曲だったけど、良いもう一つの席を与えられたなあ。
2日目ラストは『鼓動』。『夢見る宇宙』『Solaris』『忘却』とトリには十二分な大バラードが並ぶ中で、真にラストを飾ったのはこの曲だった。苦しみもがきながらも生きることを選ぶようなこの曲に、今現在のBUCK-TICKのスタンスが現れているかのようだった。
うーん、BUCK-TICKは本当に、根っこのところで裏切らない。信頼が揺るがない。
駆け足ながら。