2023.9.18 BUCK-TICK 群馬音楽センター 〜 藤岡市より愛を込めて

 

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本日はお日柄も良く。

会場近くのホテルで一泊とったのだが、ホテル内で3組くらい異空ツアーのシャツを着てる方に遭遇してビビった。チェックインと会場行き帰りしか部屋から出てないのに3組遭遇は妙に多い。地域経済を回シテ行コウboogie。

そして私は特にバンドシャツを着てきたわけでもないのに「もしかして同じとこ(会場行き)ですか?」と特定された。分かっちゃうのか……いやまあ分かるか、黒で纏めてたし。

 

 

 

開演、SE『QUANTUM I』。この日はフロント3人はいつもの位置どりにして、ドラムのアニイ・ヤガミさんとベースのユータさんが後方の左右に並んだ所謂ペンタゴン型の配置。最初期のBUCK-TICK本「LOVE ME」にこの配置で全員を綺麗に映すスタッフのこだわりが書いてあったなーと思い出した。やはり地元公演だからだろうか。

 

SCARECROW、MORTALを彷彿とさせる無情な漆黒ナンバー。風にさらされる案山子の影を描写したスクリーン映像が黒美しい。病み上がりが心配された櫻井さんも無事なお姿で歌声を張り上げていく。

続いてワルキューレの騎行を経て、突然の『ICONOCLASM』からの『残骸』。とってもインダストリアル・ロックバンド。静岡公演〜先のツアーセトリにはなかったと思うので不意打ちを受けたような衝撃だ。

エキゾチックなスクリーン映像がより印象的な『愛のハレム』から、青い光に包まれた『さよならシェルター』。さよならシェルター、後に控えている曲達を思えばそうなるんだけど「あれ、もう演るのか」って思っちゃいがち。私にとってはもうBUCK-TICK全史でも片手指に入るほどの大大名曲なので……。今夜、地球はまるで 美しい流れ星  綺麗だ。

この後くらいに櫻井さんから「ここのホールは音響が良いので、皆さんの拍手が降ってくるかのようです」という挨拶があり、『Campanella 花束を君に

 

『THE SEASIDE STORY』、魔王様の身体を揺らすダンスがどんどんサザエさんのオープニングに寄ってき……いえ、何も言ってないです。BUCK-TICKの近年の昭和歌謡風ソングはわりとこの曲が決定打だったんだろうなと思う。

からの『人魚』。珍しい選曲と組み合わせだけど、なんで内陸の群馬県で人魚の歌コンボを? と思っていたらこの次の曲が南風に拐われる『無限LOOP』だった。なるほど!

 

「今日で一応 (苦笑)……ツアーファイナルです。スタッフの皆さん、お疲れ様でした。……まだ、可愛いあの娘が名古屋で待っているので、雨ニ撃タレテ行コウ『Boogie Woogie』!」

そして『野良猫ブルー』。2曲続けて紫がかったライトがブルージーにシックな雰囲気に彩っていて、昔観たブルース・ブラザースか何かのビデオみたいだった。

エレクトロ・インダストリアルから徐々に生バンドっぽくなってきた楽曲の流れを裏切るように、戦闘機音声のようなサンプリングから始まる『THE FALLING DOWN』。落下していく寓話チックなアニメーション映像が、やはりこの曲は『太陽とイカロス』らと対というか表裏なイメージなんだろうなと思わされる(十三階におけるseraphim的な)。

 

『天使は誰だ』。久々じゃない!? 単純に大好きな曲というのもありつつ、また時を経るごとにこの歌詞がリアルになってきてしまったというか、一周して近年の歌詞の方向に近づいた気もする。

『嘆きのリボルバー  ジョンを奪った天使は誰だ リボルバー』『恍惚リボルバー  キミは暗闇  太陽が眩しかった』『御覧よ  あれが  貪る命だ』『世界が点滅して  拍手喝采の  あれがラストショウ』

「世界が点滅して〜」というこの歌詞が生まれた頃はまだSNSは普及しきっていなかったんだなあ。愛、愛、LOVE、LOVE。

 

『太陽とイカロス』。スクリーン映像の美しい空を進んでいく景色から始まって、突如深紅が飛び散るイメージがフラッシュし、そしてどんどん空の画が点滅していく流れが印象的だった。アルバムでは丁度真ん中くらいの曲順に位置していたが、ツアーでは本編ラスト手前という位置。どこに配置されるかでストーリーのイメージが膨らんでいくかのようだ。

 

本編ラストは先のツアーと同じくして『die』。演奏されたそれぞれの曲が象る、一つ一つの『死』にゆく影へ。

丁度ツアー前にどこかのレビューでこの曲を「Suedeっぽい」と評しているのを見て、言われてみれば確かにと思ったり。例えば「スタンド・バイ・ミー」で茂みの中に転がる死体のように葬ってほしい。鬱屈した子どもたちが覗きに来るから。

 

 

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アンコールはまずアニイが登場して高らかなドラムソロタイム。その後に弦楽隊御三方が登場。今井パイセンを先頭に一列に並んで入ってきて「今井軍団って感じだな……」ってちょっと思った。おおそこのけそこのけ未来が通る。

ユータさんご贔屓の阪神がアレしたらしいので『相変わらずの「アレ」のカタマリ〜』が演奏される、とかいう展開は全くありませんでした。

 

櫻井さんも入ってきてアンコール一曲目の『CLIMAX TOGETHER』

そしてアコースティック編成の楽器に切り替わり、『Cuba Libre』Coyoteを披露。静かなアコースティックに客席からのクラップが鳴り響く2曲は「拍手が降ってくる」という会場にピッタリだったかもしれない。

ライヴ冒頭はエレクトロやインダストリアルな曲が集っていたが、進んでいくにつれどんどん生バンドらしい肉感を帯びた曲目になり、とうとうアコースティック・テイクにまで進んできたのが印象的だった。BUCK-TICKの懐の広さを存分に魅せるようでもあるし、造り上げたものを一度下ろして「群馬の5人組バンド」に帰っていくようでもあったし、或いは戦闘機が剥がれて一人の人間の姿に帰っていくかのようでもあったかもしれない。

 

そしてその果てに演奏されるのは、暗黒情緒歌謡とも言うべき『ヒズミ』。今ツアーで間違いなく最も話題が集中した一曲。過去の『無題』や『夢魔』らとは毛色の違う、轟音の破壊力よりも淡々とした調べからきりきりと上っていく表現力でこの空間を圧殺する。

そして全てを慈しむような『名も無きわたし』が演奏され、大量の紙吹雪が舞うなかでアンコールも幕を閉じた。

 

 

紙吹雪で埋め尽くされたステージを残して、しかし鳴り続くアンコールの声。そこにメンバーが戻ってきて本日真のラストナンバー、『NEW WORLD』へ。武道館やアリーナと比較されれば決して大きくはない群馬音楽センターの場内を、大量の色彩豊かなライト達が所狭しと飛び回る様がなんだか この会場とBUCK-TICKの結びを象徴するかのようですらあった。

 

……筆者はNo.0くらいの頃には「『NEW WORLD』は今後も長く演奏され続ける曲になってほしいね」などと話していた記憶があるのだが、まさか本当に、こんなに大切にかつシンボリックな立ち位置を務める曲になっていくとは思わなかった。それこそ時代を重ねるごとにこの曲が希求されていくというか。いや筆者は当時から「逆に一番重くて軽々しく聴けない曲」とか言ってましたよ(謎で不毛なアピール)。無限の闇、狂い咲く命共、今夜 地球はまるで美しい流れ星。

 

終演。一言ずつ挨拶を残してハケていくメンバーたち。ユータさんが「ありがとー♡」と言った後にアニイが真似して「ありがとー♡」って言って最後の最後に今日一でかい拍手と笑い声が降り注いだ。

 

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終演後、とりあえず酒でも呑むかと場所を探していたらお店の名前に惹かれてこちらにお邪魔を。右手に見える路地がNo.0のジャケットっぽい。ホッケ美味しかったです。

 

翌日には藤岡市を回りました。

 

 

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人魚の歌コンボの真相

 

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聖地でお買い上げしたPeace(ご挨拶に行かせていただきました)

 

 

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海にまざり合う DRAGON AND BOY

 

 

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定食屋にて。カツがシンプルにデカくて途中で諦めそうになった (笑  翌日の明け方に書いている今もまだお腹が空きません)。

 

 

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BUCK-TICKの歌詞に花がよく出る理由も頷ける、気がする。

 

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ここ最近軽く引きこもりがちだったんだけど(新しい都があまり気に入ってなくてねえ)、でもやっぱり外に触れないと駄目だなって。人の少ないところへ。

 

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桜山公園

 


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イヤホンから『零式13型「愛」』の前奏を聴きながらこの画を眼の前にした私の心境、命ガ モウ  ドクドク ドクドクト。

 

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藤岡歴史館より

 

 

そんな感じでした。また来ます。

 

 

藤岡市まわりで聴いていたプレイリスト


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図らずとも過去イチ「BUCK-TICKの歩み」みたいなリストになってしまった……まあ、そりゃそうか。

 

趣旨的に入らなかったというだけでTABOOより前の作品なら『SEVENTH HEAVEN』が一番好きという話は別にいいのです。