伊豆大島に行ったら観光100%・修行150%みたいな体験になった。2023.5

 

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伊豆大島へ2泊3日で行ってきました。

 

 

Q. 何故伊豆大島へ?

A. 伊豆諸島には前々から行ってみたいと思っていたので。また、伊豆大島は『リング』でおなじみのあの貞子(とその母親)の出身地という設定。そんなところから調べていて面白そうだなと思い、今回行くことに。

 

 

貞子の来歴と言えば『リング0』、リング0と言えばL'Arc~en~Cielの『finale』ですが


15. Finale By L'Arc en Ciel - Ring 0 Original Motion Picture Soundtrack - YouTube

 

こんなイメージを勝手に頭の中で浮かべつつ。単純に離島を満喫しようという気概もありつつ。伊豆大島へ足を踏み入れたのです。

 

 

 

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熱海から向かったんですけれども、西の元町港に停まるんだろうと思っていたら強風もあってか北側の岡田港に停まったので、いや元町の方でホテルとってるし……。じゃあしょうがないから荷物抱えたまま三原火山を登って元町に行くよ、と無謀と勇気を履き違えたノミ同類の歩みを進めてしまう。かくして、最初からクライマックスだった大島録のはじまりはじまり……。

 

 

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我ながらというのも何ですが、参考にしちゃ駄目ですこんなの……普通にタクシー拾ったりしてください。

 


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島の中心に近づくにつれ、次第に緑も深くなり──

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「いつか森になる道」

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「かつて森だった道」なんじゃないのか?とか思ったが、つまりは “森から生まれ森へと還る道” という意味も込められているのかな。あ、そういえば途中で子鹿みたいなやつに会った!(初めて伊豆に行った時にも野生の鹿見たな)

 

 

火山近くの荒野へ

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噴火の際に吹き飛んできた火山石の群が、オブジェのように荒野一面に広がっている……。

 

 

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『有毒な火山ガスは、植物を枯らしてしまいます。けれども、火山の活動が収まれば、植物はかならず芽を出し、やがて緑の大地が再び生まれます。……ひとつぶの種が溶岩のすきまから芽を出し、それが土を作って草原になり、草原に木が生えて成長し、やがて森を作ります。

植物が再生していく数百年間の物語を歩きながら体験してください。』

 

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ついに三原火山の山頂前へ

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来た道を振り返れば快晴なのに、これから登る山の上は完全に霧がかった曇天。なんか、「地上と天上を行き来する天使の視点ってこんな感じなのかな」とか思ったな。

この時たまたまTourbillonを聴きながら歩いてきて一休みに入ったのだが、スマホを開けた時に、Tourbillonの再始動と石川県能登地震の報せを知った。いろんな緊張を覚えた。

 

 


アゲハ - YouTube

 

枯れ果てそれでも突き刺さった  喜び悲しみ温もり

それは人の世の無情な詩

 

 

では、火山を登ります。

…あまり書くべきではないことですが、既に山には霧が立ちこめていて、火口付近には『霧発生時通行禁止』との看板がある。なので、本来ならその時用の標高低めで短いルートが使えるはずなんですけど、その道がどこなのかがよく分からない。どれが用意された道なのかそうじゃないのかも一見分かりづらい様相をしているし。それでもう、「間違えて本来の道じゃない場所に入ってしまう危険よりは、霧が出てても火口を周るルートを突っ切ろう」となって。

 

 

 

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真っ白。そして何より、轟轟の強風。左右は底の見えない崖になっている火山の頂上で、マジで足ごと持ってかれそうになる超強風。もう飛ばされないように必死で荷物とロープを握りしめて、マジで一歩間違えたら火口周辺から転げ落ちそうな風のなかとにかく歩き続けろと必死必死に。

転落して死んだ方もいる場所なので、言うまでもなくこんな状況絶対に行っちゃ駄目です(結局横の道どこだったんだよ)。

 

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minus(-) / 「C」Official Trailer - YouTube

まったく冗談にならない話だが、この時よりによって耳元を流れていたのがminus(-)のアルバム『C』だったので余計めちゃくちゃ怖かった。イヤホン外す暇すらないし、音楽なしだったらそれこそ恐怖でへばりそうな状況だったし。

 

 

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下りた……

 


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……神社? 山の頂上近くに?

いや神社は基本的に好きだけど、もう体力使い果たしたし、寄り道する時間もあまりないし、存在がなんか不気味で怖いし……。

……。

 

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「逆に考えるんだ。『みんな火山で怖い思いをしてくるからここに神社が建っているんだ』と、そう考えるんだ。」

 

人が住みはじめた頃より噴火とともに生活があり、……古来より三原山は「三原大明神」、あるいは「御神火様」と崇められ、そして畏れられてきました。……

大島の信仰はまさに御神火である三原山を中心に展開してきており、……それは、人間の力では到底及ばない自然現象に対して畏敬の念を抱き、信仰の対象とするアニミズム思想に基づいたものと考えられます。

https://oshima-navi.com/shrine/shrine001.html より)


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私が撮った写真と雰囲気が違いすぎるだろ。

 

 

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神社にお参りをしてまた歩きはじめた途端、曇り空が明けて太陽が穏やかに射してきた。「偶然だろ」「思い込みだよ」「そういう地点だからそこに神社が建てられたんじゃないのか」、どれも否定はしない。ただ、神社から出た途端に太陽が顔を出してきたということだけは事実である。

 


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噴火などの際の緊急避難用小型シェルター

 

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その後ようやく町まで下り、雑貨屋さんにタクシーの番号を教えてもらい、ホテルまで送られ、一日目を終えたのです。

 

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2日目


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晴れていた初日のうちに火山を登ってきたから、2日目は海辺の方へ。心配していた雨も降らなそうなので、サイクリングショップで自転車を借りて島を一周しに行きました。


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……なんか、懐かしいなあって。あんまり自語もアレなんですけど、小学生の頃、親の手配でほぼ毎年のように夏休みの1,2週間を長崎の離島に預けてもらってたんですね。

島と海の感じもそうだし、町の雰囲気も、匂いも、そういえばこんな感じだったなあって。ついでに自転車で好き勝手走っていく感覚も子どもの頃みたいだ。

 

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火山の影響による黒い砂浜。

 

 

……LUNA SEAの『IN SILENCE』を自分が特に好きなのは、長崎に預けられてた記憶もあるのかなあとか。いや大体ずっと海の近くにばっかいるけど。


LUNA SEA - 「IN SILENCE」MV - YouTube

 

 

 

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「神の宿る岩」と呼ばれる『筆島』。今では小さな岩の姿をしているが、実は三原山よりも古い歴史をもつ「火山」なのだそう。火道が海の侵食に耐え、岩頸と呼ばれる地形となってこの形でなお海の上に保っているらしい。(お前自身が)パワースポット。

 

そういえば貞子の出身地はこの辺の町という設定らしい。いる間はすっかり忘れていたが、そういえば貞子の母親はあの三原山の火口へ投身自殺したというお話だったんだよな……(というか呪いのビデオの新聞のシーンが三原山噴火の記事だったところから山村家を特定していくんだっけか)。

 

 

西の元町から来て、今いるのが島の南東側。脚の疲れもそこそこにもうひと頑張りで一周終わるんじゃないかーと余裕をみせていたら

 

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ここから約5kmエッグいくらいの坂道。いや写真はそんな坂道の入口部分で、こっからはそんなもんじゃないです。登るのに必死すぎて全然写真がないもん。海辺を回っていくもんだと思ってたら明らかに山を登ってるし。「私はホテルまで帰れるのだろうか」という不安が……

あとやっぱり海と比べると山は怖い。薄暗いし、空気薄いし、5秒後に何かに襲われてても不思議じゃない大自然の矛先がある。山には妖怪話が憑きものなわけである。

登っていくうちに左右の視界も鬱蒼とした森ばかりになり。「ああ、小さいと思っていたこの島の中で、それでも人間が歩いていい部分はほんの一握りなんだ」と思い知らされるように。

 

標高の高いところに来た辺りだろうか。「もうそろそろ平地なんじゃないのか〜!」と思いながらUターンを曲がったら、長い上り坂と共に強烈な向かい風が私に向かってゴーッと吹いてきて、「殺意じゃん」ってなった。単純にしんどいし、三原山の強風が完全にトラウマになってて心臓がヒリつく。山からの「殺意」ですよ。

 

 

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そんなこんなでヒィヒィ言いながら辿り着いた今回の一大目的地。『裏砂漠』。


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ヲーオーオーオオーー ヲーオーオーオオーオー

遥か遥か遠く  名も亡き孤独の王は

どっちかって言うとLUNA SEAの『RAIN』。いやもう行く前からこの曲のイメージしかなかった。


Rain - YouTube

 

 

日本で唯一「砂漠」と正式に認定されている地で、戦前はラクダやロバも移動用に輸入されていたらしい。

ちなみにラルクの『As if in a dream』のMVはここで撮ったとかいう噂も。いやでもLUNA SEAのRAINだろここは。うーん誰が何と言おうとLUNA SEAのRAIN。両足は砂にとられて動けない。

 

 

 

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時間・体力ともに砂漠を満喫するということができなかったのは残念なんですけど、島一周コースはここから天然のジェットコースターみたいなロングロング下り坂に入り、疲れた心も一気にStormy…になり。

 


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下った先の大野公園にある動物園。無料で入れるんだけど売店も閉まってて自販機もほぼ全部売り切れてて焦った。ご飯とか買いたかった。


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真の動物園ってやつを教えてくれる貼り紙

火山博物館の資料に書かれていたが、伊豆大島には動物園から脱走したキョン達が繁殖して野生となって生息しているらしい。うーん結構ロマンを感じる話というか。

 

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キョン。こういうやつ。

 

そんなこんなで、筆島からの上り坂では「これ時間までに帰れないんじゃないか」「とにかく意地でも歩き続けないともうどうしようもないぞ」と“覚悟”を問われる経験だったのですが、下り坂からはまたするっとサイクリングショップまで戻ってこれたのでした。しかし2日連続で脚を酷使した。修行か?

大島は星も綺麗とのことなんですけれど夜はもうぐーぐー寝てましたね……

 

 

 

 

 

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3日目は火山博物館へ行き、港前のお店でべっこう丼を食べて帰港。

 

 

来る前は悪天候と重なっちゃうんじゃないかと思ってたんだけど、思いの外直撃とはならずに島を満喫、友達や職場から船出るのかと心配されたけど列島に戻ってきてからの方がザザ降りでした。いろんな神様をまわったおかげということで。

 

いきなり火山を登り、霧の山頂の恐ろしさを身に味わい、一日かけて自転車で島を一周し、長い山の坂道にすくみ……。目に触れるのは、火山と、それに抗う森と、すべてを覆い包む海の長い歴史。間違いない純度100%の「観光」だったんだけど、それ以上に「修行」にでも来たんじゃないのかという感覚でした。実際に修行だったのかもしれない。

そして、小さいと思っていた島のなかで、しかし人が歩いて良い場所はほんの一握りだったということ。埋め尽くすような森も、火山石が立ち並ぶ広大な荒野も、山の崖下も、当然見渡す限りの海も、そこには容易く入ってはいけない。この島の一割にもなるかならないかの土地で人々の基本生活は営まれているのだろう。きっとこの島に一年間滞在したとしても、自分はこの島を理解しきれることはないんじゃないかと思う。わりと真面目に人間のサイズ感というか、自然領域との対話というか、そんなものを学ばされた気分だ。

 

そんな旅路でした。

 

 

 

余談  貞子が殺された(井戸に落とされた)という設定の場所は箱根の某所だと知って(映画だと島に行った先で井戸掘ってなかったっけ?)、帰りにそちらにも寄ってみました。「なんだ箱根かw」くらいの気持ちで行ってみたら、全然知らん山道を薄暗い雨のなか車で15分くらい走った場所にそれらしき地区があって、最後の最後にシンプルに怖かったです。

 

 

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いややっぱり映画はどう見ても大島だこれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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いつもの。選曲のことも書きたかったけど思ったより長くなった。それはまた別途……