現代モノ幻想譚としても素晴らしかった『アンネ・フランクと旅する日記』

 

 

アンネ・フランクと旅する日記』という映画を観てきました。

 

面白かったです。っていう言い方にもなっちゃうけども。

 

 

“いまは博物館となっている、アムステルダムのアンネの隠れ家。そこに展示された日記のなかからキティーが現れるという、ファンタジックなシーンから本作は始まる。キティーは、アンネの行方を探して、アムステルダムの街をさまよいながら、自分に宛てられた日記を少しずつ読み進めていく。本作は、隠れ家のアンネと街に飛び出すキティー、静と動、過去と現在、二つの物語が交互に進行していくこととなる。”


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「アンネのキャラクター的消費みたいなのだったら嫌だなあ」とも思いつつ、“空想の友人” であったキティーの方が描かれると見てどうなるのかなと思いながら。

 

良かったです。というか、やたら映像と音楽がよくてびっくりしました(笑)。シナリオも「実体化した幻想」モノの王道なり美味しいところをバッチリ踏んでて。特に音楽は出てすぐサントラないか探したな。

 

 

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アニメーションやテンポそれ自体も良かったんだけど、原典『アンネの日記』の、ナチス支配下の現実とメルヘンチックなファンタジーが文字通り殴り合っている独特の空気感がそのままこの映画にも持ち込まれている。

 

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右の黒い存在。不気味というか「人じゃない」感がすごい。下世話な例えだが、RPGで戦闘に入ったら即全滅させられるタイプの敵ギミックみたいな。いやまさにアンネらからはただただ恐怖の存在だったろうなと思わせられる。

 

 

音楽はバンドMGMTのBen GoldwasserとシンガーKAREN Oが制作。

 


MGMT - Me and Michael - YouTube

 

空気感が近いのはこの辺だろうか。見てるときはdropzみたいな曲だなと思ったり。

 

 

 

 

例えば教会という建物は、その宗教的教示は別にしてもひたすら人に「美しさ」や「浄化」をおぼえさせるもので完成されている。人を癒やし、償い、祝福、祈り、なんかとにかくポジティブな感覚に導く作用を、ガラスの光色や堂の大きさや作り上げた空気感でもたらしている。そういう意味で教会という施設は「あくまで人間が作った芸術品」だと思う。神なんか関係なく、教会のパワーって芸術のパワーだよなって。

「音楽や作品に社会的テーマ性をはかるのは是か非か」という話題の時にも、私はそういった教会の姿を思う。テーマ性を目指して創造されたというところまで含めて、芸術はあくまで芸術、趣向品は足しても引いてもやっぱり趣向品だ。

そしてやっぱり、私は趣向品に触れて感じたものを大事にして生きたいと思う。

 

 

 

 

 


MGMT - She Works Out Too Much - YouTube

MGMT、ちゃんと聴こう。

 


Karen O & Danger Mouse - TURN THE LIGHT - YouTube

KAREN Oの歌声はこちらから。なんかトレント・レズナーとも組んでたな。

 

HYDEの『SECRET LETTERS』もアンネの日記をテーマにした楽曲だとか。名曲だけどひたすらに物悲しい曲だし、今回の映画はそういうのでもないので、こちらの方を。


Hyde - White Song - YouTube

 


(((IEMN))) Dropz - A Snowflake Falling To The Ground (Black Savannah Remix) 2007 - Downtempo - YouTube

我らが星野英彦率いるdropz。このトラックが入ってるリミックス盤は初回盤特典でサブスクにも入れられてないので、是非『SWEET OBLIVION』は初回盤を。他のリミックスもいいんだよなあれ。

 

「(dropzは)2ndやらないのかなぁ? 作ればいいのに。ガツガツしてないねぇ(笑)」

by 今井寿