「V系とアイドルの記事」の紹介に寄せて ~きみに告ぐゆめ~

 

ヴィジュアル系ロックで紐解くアイドルクロニクル』という記事を読みました。

 

 

単純にいい記事だと思うし紹介しときたかったのが主なんだけど、感想とか書こうと思うと、うーん

 

 

 

私はアイドル界隈も全然詳しくないし(興味は向いてきてるけど)、V系はこう、めんどくさい、自分が(笑)。言うほど詳しいわけでもないし。

 

V系特有の肌に合う楽曲センスってのは確かにあるんだけど、それも「だからV系はすごい!」とかよりも「それを避けてる他カルチャーはどうした」みたいな変な方向に向きがち。あとは「BUCK-TICKとhideとLUNA SEAの偉業。彼らの活躍の “一つの” 結晶」ってくらいの感覚というかな(一番外せないのはDEAD ENDだろうけど)。

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あっラルクV系問題? うふふふふふふ。いやーあの時代の「V系呼ばわり」にケリを入れたこと自体は別に間違いではないんじゃないかとは思うけどねー、それに考えなしに連なって(或いはV系を蔑む連中と列を共にして)「ラルクV系とは違う!」って声高に言う方々にはねー、ふふふふふふふ。

BUCK-TICKは「紀元前」っていう使いやすい言葉がこの度出てきましたね。

 

まあlynch.の葉月が言ってた「V系V系になる前の(そういうカルチャーだとして形式化していく前の)V系が好き」っていうのが本当それですって感じ。黎明期の直情的な開拓意思が好き。

 

もうここまででもV系ってほんとめんどくさいな。

 

 

 

 

………記事の話に入ろう。

 


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紹介の記事は番組『マツコの知らない世界』でV系が取り上げられたのを機に書かれたのであろう。私も見ました。で、冒頭からその番組で出た言葉を引用しつつ「 “日常を闘うために非日常を愛してる”……まさにこれこそが真理であり、非日常のベクトルは違うが、アイドルも同様である。」という序文から始まる。

鼻につく言い方をすれば、私は非日常を愛するためにV系の音楽を聴いてる気持ちはない。いやまあ確かに退廃的センスだったりクールでアーティスティックなイメージだったり人には解らぬ言葉を遣いパンタグラフのスパークを食べたりするの好きだけども。

勝手に引き合いに出すようで申し訳ないが、私には上記の言葉よりもhideや逹瑯(MUCC)が口にしていた「ウォー・メイク」「武装という言葉の方がすっと呑み込める。V系の出発点は異世界趣味というよりも「とにかく派手なことを、目立つこと、今までになかったものを」という挑戦意識だったはずだ。非日常への愛というよりも彼らの日常の戦いそのものではなかったろうか。言わば「面白いことやってやる」という態度表明と気合い入れとして彼らのメイクはあったと思う。

耽美志向、デカダン的様式美というものは確かに強い要素だし否定するつもりもないが、根っ子がそれだと語られると自分は「違うな」と思ってしまう。少なくとも自分が敬愛する方々のスタンスの根っ子は爆撃衝動のようなものだったと受け取っている。

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勿論V系界隈でなくともすべてのミュージシャン、すべての人々にドラマがあるのだが、倒壊した自作ステージで瓦礫のライヴを敢行したり、名だたる洋楽ミュージシャンと組んで最新なインダストリアルロックを手掛けたり、酔っ払った翌日に全然知らないお爺ちゃんお婆ちゃん達と一緒にラジオ体操したりといったそれは圧倒的なヒーロー・ロマンに満ちていた。それらは彼らの立ち振舞いからくるスター性と、何より「絶対に凄いことをやるんだ」という “悪趣味な髪色とメイクならでは” な並々ならぬ覚悟が生み出したものではなかろうか(あと酒のノリ)。

それを彼らの日常と言うか私達から見て非日常と言うかは微妙なところだが、少なくとも私は「ファンタジー的創作世界」を第一に迎合していた気はしないかな。

 

 

ではアイドルはどうなんだろう。私が述べたのは言わばトップスター的ドラマだが、アイドルのトップと呼ばれた方々を思い浮かべると(穿った見方かもしれないが)「大人の事情に振り回されていた」的なイメージが強いようにも思う。

ちょっと話は逸れるが、ある人が以前異世界的な描写も、様々な音楽ジャンルを独自のポップスに取り込む手法も、本人的なヒーロー性も、今はアイドルがやっているので、V系の存在ってとっくに役目を終えているんだよな」と言っていた。わりと間違ってないと思うし、それこそV系とアイドルの繋がりを端的に示している。

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……SUGIZOが確か、「自分たち自身で手がけている音楽と外部からのコンセプト的なもので作られている音楽は絶対的に差が出る」というようなことを言っていたような。そうだろうなと思う。少なくともサウンド班が「影のグループ・メンバー」と言えるくらいがっつりグループに依拠していないとそのSUGIZOが語った音像の壁は超えられないのだろう。そしてその差違がそのままスター性の話の方も繋がってくるようにも思える。

私は別に「V系とアイドルは通ずる」という話を否定したいわけではないのだが、その「他者の意思(プロデュース)に基づいて動いている感じ。それに起因しているであろう突き抜けの厳しさ」はアイドルというカルチャーが発展していく上での大きな課題なのではなかろうか(勿論セルフプロデュースで活動しているアイドルグループも諸々存在しているが)。

 

 


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楽曲面の話だと、「ヴィジュアル系音楽構造はそのままJ-ROCK、邦ロックの音楽構造になっていった節もある。」「ヴィジュアル系音楽構造に間接的影響を受けていることも多い。」という記述。

私から断言は出来ないが、仮に「洋楽的エッセンスをBOØWY以上に踏み込んだ段階で邦楽ポップに定着させた」のがV系だと仮説するならば、「影響を受けていることも多い」なんてレベルではないだろう

(どこかでJ-ROCK史は『ROSIER』以前・以後だという話題を聞いた気がするが、どう思われるだろうか。そういえば『すべての道はV系へ通ず。』まだ読んでないな)。


LUNA SEA - 「ROSIER」MV - YouTube

何にせよ、邦楽ロックにおける楽曲表現の幅を最も広げたシーンがV系シーンであることは間違いないだろう。もっと言えば「洋楽とは比べるまでもなく立ち後れている」とされていた邦楽文化を「世界に通用するもの」とされるまで引き上げた第一人者が90年代前~中盤のV系シーンなのだ。それは黎明期にV系と呼ばれていく方々の「コア・マイナー寄りな音楽もゴスいメイクも、自分がいいと思うもの全部やってやろう。今までになかったものを作ってやろう」「それでいてメジャーシーンにも台頭できる音楽にしてやろう」というスタイルの賜物だったのではなかろうか。私が尊重したいのはそこだ。

それが「V系になる前のV系」の “迫力” である。

 

 

 

記事には「同じ非日常とはいえ、退廃的なヴィジュアル系とは真逆で、アイドルはハッピーオーラを振り撒くものである。」とも記しつつ、マイナー的な楽曲やパフォーマンスを展開しているアイドルグループも紹介している。

逆に言えばV系も決してマイナス精神でばかりなわけでもないのだが、まあアイドルがステージで自傷(物理)してはいけないのと同じくらいV系が爽やかフレッシュではいけないのかな。

記事の中で紹介されていたこれまた面白い記事に触れたい。

 

 

THERE THERE THERESというグループ(藤井麻輝が『The Victim』を提供したとこの後継グループ)を「“BUCK-TICKがやってそうなことをやってるアイドル”」「具体的に何が似ているというわけではない。ニューウェーヴポジパン、ブリティッシュロックからオルタナティヴロック、そしてEBMにダークエレクトロまで、あらゆる音楽を吸収し、ゴシックな世界観を以ってオリジナリティに昇華していく様が、どこか似ている気がするのだ。」と紹介しつつ、こう述べている。

 

「そして、退廃的な世界観ながらも、“負”を感じさせないところに惹かれる、と。確かに、闇であっても病みはない。仄暗く妖しさ漂うグループカラーとステージングでありながら、メンバーの佇まいを含め、マイナスのオーラはまったくない。これが、THERE THERE THERESの大きな魅力なのだとあらためて気づく。」


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ゼアゼアとは話が逸れるが、上の言葉はBUCK-TICKのスピリットを語るにおいてこの上ない提言だなと思う。そうなのだ。人の心に触れるものに、実はプラスもマイナスも、ポジティブもネガティブもない、と私は思う。

泣き叫ぶような絶唱を聴いて「ああスッキリした、行こ」と思う人もいれば、輝かしく何かを掴むような歌を聴いて「私は貴方みたいにはできない……」とヘコむ人もいる。勿論そのまま感情が移る人も。

「受け手がどう感じるか」なのだ。と言ってしまうと投げやりみたいだが、そうではなく “心自体” というような前にも後ろにも動かせうるものを、BUCK-TICKは結構意図的に突いているよねというか。『ONE LIFE, ONE DEATH』『memento mori』といったアルバムタイトルからもその「ネガでもポジでも、好きに受け取ってくれていい」というようなニュートラル精神が伝わらないだろうか。『鼓動』『世界は闇で満ちている』『LOVE PARADE』『ICONOCLASM』、彼らを象徴するあらゆる曲がプラスにもマイナスにも息づいてるし、だからこそBUCK-TICKの音楽はどんなに暗黒でも常に生命力がある。私は彼らのことを「暗黒の大陸、生活圏」とたまに述べるが、それは彼らの音楽がおおよそ「一時の感情」よりも恒久的・偏在的な闇を描いてると思うことが大きいからだ。BUCK-TICKの音楽は「闇への墜落」よりも「闇の中で生きる姿」である。

 

めちゃくちゃ話が逸れた気もするが、何が言いたかったかと言うと「例え退廃であれハッピーであれ、『圏の理屈』を形成したフィールドは表面性に関わらず人に力を与えるものだろう」みたいな話。妙な角度で例えれば夢見りあむのファンだって輝子ちゃんのファンだってそれぞれの理屈で彼女らに力を貰ってるだろうというような。

 


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余談に余談を重ねるが、V系花盛りの時代は世紀末と共に一度終わりを告げたとはマツコでも触れられている。それはたまたまな偶然ではなく、実際に世紀末という先の見えない焦燥とオカルト的盛り上がりがV系台頭の大きな土壌であり、21世紀に入って情勢の深刻化と共にそれを失ったというのが実際マジなところなんだろう。

そこであの文脈をもう一度という時、「世紀末リバイバル」みたいな方向に行ってしまうのか、「新しい時代の闇を作品に転化しきる」のかというのが大きな分かれ目で、私は今のV系のパブリックイメージは前者、BUCK-TICKは後者だと思っている。それ自身は別の記事が必要くらいの話なのでまたいつか……

 

 

 

ここまで書いたところで今度はまた別の記事が飛んできたのでこちらも紹介したい。ある作家さんがCoccoの音楽に出会って彼女の姿が「創作の火を熾(おこ)してくれた」という話。

うん、こちらの方が「非日常への愛」という話よりも自分はずっと共感できる。彼・彼女らの放つ歌や奏でる姿そのものが私にとってはエネルギーであり、「形は違えどこのように生きたい」という「日常による日常のためのバイブル」だったのだ。それを最も強烈な迫力で提示していたのが、私から見ればV系(と呼ばれる人々)だったよねっていう。

 

まだまだあった、信頼する筆者様からのV系概念。

 

 

 

話が長くなったが、折角記事の方で色々なアイドルさん方が紹介されてるので少しずつでも探ってまわりたい。

あー、THERE THERE THERESは流石に知ってたけど多人数ボーカルってやっぱ苦手だなってなっちゃうんだよな。

そう考えると4人編成(現3人)なのに多人数的なごちゃつきを感じさせないRAYは中々凄いというか、シューゲイザー志向故かなと思ったり流石「ソロ性」を掲げてるグループだなと思ったり。

 


ヤなことそっとミュート - Lily【MV】 - YouTube

いやTwilight Sky始まったんかと思ったよね

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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斑鳩ルカに対する登場前の反応、

斑鳩ルカの見た目とカミサマと言われてるとかいうノリ、地下に居そうなイキってるアイドルみたいでなんかイヤ😟 本当は優しい子だったらいいな」

「『悩める現代女子』からの『カルト人気』って明言されてる時点で、一般人気で283の人気アイドル組より格下っぽそうなイメージ」

etc...

 

なんだろう、この、直接自分の方角を言われてるわけではないんだが自分の方角を言われてるような、カチンとくる、いや「ほう…」と火をつけたくなる感じ。まあでも “一般的” にはそういう感じなのかって思わされちゃったな。

 

 

V系の専売特許だったことは今はアイドルがやっているので、V系の存在ってとっくに役目を終えている」というとき、それになぞらえれば私は「はよ終わってくれ」と思ってるし、楽曲面やパフォーマンスでもあらゆるものが「V系の専売特許」でなくなればいいと思う。

だが、多様性を謳いつつ実際はコンプライアンスを押しつけて出来ないことの方が増えていっているこの時代、それへのカウンターカルチャーとなりうるものは、ロックシーンであれアイドルシーンであれ逆説的に残され続けるのかもしれない。

 

 

惡の華が。


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V系の行く末なんかは知らないが、反旗から始まったそれが最後には反旗に帰結するのなら、少し面白い。

 

キミニ告グ ユメハ オワラナイ